陸上部員を探せ!!#3
金曜日である今日23日は僕が「部活動を認めてもらいたい」と言った期日だ。
「緊張するわね……」
由香がそう言うと雄治も「右に同じ」とふざけて言う。緊張するとふざけたくなる気持ちは分からなくもない。
「大河内先輩は緊張しないんですか?」
上条さん──いやもう陸上部の部員なのだ、美絵と呼ぼう、は大輝に不安そうな目を向ける。当の大輝は瞑っていた目を開け小さく言った。
「まあ、緊張は舐めたからな……」
ん?どういうことだ?緊張を……舐めた?見ると他の部員たちも怪訝そうな表情をしている。すると大輝が口を開いた──
──おっと何故こんなに部員が集まったのかを説明していなかった。んじゃあそこら辺、順をおって説明していこう。
上条さんから陸上部入りを断られた次の日。僕らは作戦会議をしていた。しかしその時の声が大きかったため、大越先生に注意されてしまった。その時僕は気がついた。廊下で話している
すると、いつの間にか滝梨が近くにやってきていて僕は思わず声をあげてしまった。
「えっとさ……」
そう言う滝梨はあの鴨檻先生の問題以前からするとかなり落ち着いた静かな性格になっている。あ、由香がいるからか。
「陸上部、作るの?」
あ、うん、そのつもりだけど。と答えようとしたら由香に奪われる。
「そうそう、陸上部を作るために部員を集めてるんだけどあまり集まらないから、作戦会議してたの」
そう言って微笑む由香に滝梨は頬が赤くなる。分かりやすいやつめ。
「良かったらさ、俺も入れてくれない?」
まあ大歓迎ではあるけど、由香がいるからとかじゃないだろうな……。そう思ったら雄治がそのことをズバリと聞いた。
「それ、由香がいるからじゃないくて?」
あまりにもズバリと聞いたもんだから滝梨は「えっ、えっ」と言い、続けた。
「別にそういうわけじゃないよ。だって端末さん、陸上部入らないんでしょ?」
『えっ!?』
僕、雄治、大輝の声が重なる。
「えっ、そ、そのり、陸上部入らないって、てのは……」
「本当は陸上部を作る話が出たときに言おうと思ってたんだけど、言うタイミングがなくて、結局こんなに遅くなっちゃった。まあ、そんなわけで色々あって私陸上部には入れないの。ごめんね」
大輝の「滝梨を入れてもあと6人か……」という声が妙に耳に残っていた。
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