陸上部員を探せ!!#2

「う〜ん……誰から当たればいいの?」

 由香が困った顔で呻く。

「とにかく人が多いな……」

 先週末と同じように外に出て部員探しに出た僕らだったが、ここのところ雨が多い中久々に晴れた今日はとても人が多いのだ。

「じゃあとりあえずあの人に声掛けてみない?外では数少ない女子だし」

 由香が指差したのは小柄な女子──というより女の子に近い。

「うちの学年?」

 目が悪い大樹が聞いてくるが僕にはまだ誰が誰か分からない人が多い。

「あぁ、上条美絵だね。一昨年くらいに同じクラスだったよ」

 視力Aの雄治がそう言う。というか由香は意外と視力が良くないのだろうか。

「ああ美絵ね。なら話は早いわ。よし、行くわよ」

 そう言って小柄な彼女に近づいていく。

「あ、由香っち〜」

 上条さんは由香を見つけるなり駆け寄ってきた。

「久しぶりね、美絵。何してたの?」

「ゆめっち達と鬼ごっこしてたの。由香っちも一緒にやる?」

「いや、今回は別の用事があってきたのよ」

「えっ、何々?」

「美絵、走るの好きでしょ」

「そりゃあもちろん!!」

 これは、走るのが好きな人の笑顔だ。僕はそう思い、心の中でガッツポーズをする。

「で、今こっちにいる大樹、雄治、そして新黒田健人と陸上部を設立するために部員を探しているのよ。良かったら入ってくれない?」

「う〜ん……入りたいのは山々なんだけど、習い事が多くて時間的に無理なの」

 って、えぇ!?マジか……。

「ごめんね。部員集め頑張ってね!!」

「いやいやこっちこそ鬼ごっこの途中でごめんね」

 由香はこちらを振り向く。

「う〜ん……いけると思ったんだけどな〜」

 悔しそうな表情で言う。

「まあ次があるよ」

 雄治がそう言った。

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