鴨檻先生暴行事件での暗躍#06
由香から「なんて書かれてるの?」と聞かれるが今言うと下手したら大江に病院行きにされるかもしれない。僕は軽く首を振って「なんでもないよ」と答える。しかしさすがに一人で行くのは怖くもある……。『来なかった場合も病院行き』と書かれているが行っても病院行きなんじゃないだろうか。そう思った僕は昼休み、あの三人に協力を求めることにした。
大江と滝梨がまた呼び出されている今は絶好のチャンスだ。
「雄治、大輝、由香。ちょっと協力してほしいことがある」
そう。いつもの三人だ。
「あ、もしかしてあれじゃない?給食準備中に大江からもらってた紙」
「紙……?」
「なんの?」
席が離れている雄治と、給食当番だった大輝はかなり戸惑っているようだが由香は見ていたのでパッと気がついたらしい。
「そう。実は大江たちの方を見てたらさぁ……若干笑ってたわけ。それで思わず二度見したら大江と目が合ってさ。慌てて顔を背けたんだけど話しかけられて『時間割見てた』って言ったんだけど、紙を渡されて……」
「そうか……で、なんて書いてあったんだ?」
大輝に促され僕はまた紙を取り出して見る。
「渡されたときに『他の人に見せたら病院行き』って言われたから口頭で伝えるね。えっと……『ホームルームが終わったら武道場と体育館の間に来い。来なかった場合も病院行きだ』だって」
三人とも沈黙する。
「あのさ……場所がありきたりすぎると思うんだけど」
雄治がおずおずとそう言う。
「あ、それ私も思ったわ。もし告白する人とかがいたらどうするのよ……」
え?そういう問題なの?
「さすがに告白をする奴はいないと思うが、人目が少ないからだろうな」
確かに人がわんさかいる場所で殴るわけにもいかなしな……。
「そこで!!三人に頼みがある!!ホームルーム終了後、気付かれないように隠れて僕についてきてほしい」
「私は元からそのつもりだったよ?」
「話聞いたときからそんなことだろうと思ってたよ」
「戦力になるかは分からないができるとこまでやってみる」
おお、なんと頼もしい。
「よし、じゃあよろしく頼むよ」
こうして僕ら四人vs大江・滝梨の戦いの幕が開かれようとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます