陸上部顧問を探せ!!#3
コンコン。
僕は二回目となる校長室の扉をノックした。
「どうぞどうぞ」
名乗ってもいないのに許可された──が、こんな朝早くから校長室の扉をノックする人はまあいないだろうからな……。
「失礼します」
引き戸を引いて中に入る。一番手前の席へ案内され、僕はそこに座る。
「さて、陸上部新設の件だけど、部員についてはほぼ目処がついたらしいね」
「はい、おかげさまで」
この校長先生にはどういう情報網があるのか……。僕は冷や汗を舁く。
「こうなったらこちらも期待に応えなければいけないからね。枝木先生には陸上部の顧問になってもらうことにした」
「あ……ありがとうございます!!!!」
僕は思わず叫ぶようにお礼を言った。
「しかしだね新黒田くん」
「は、はい……」
校長先生が僕の方をしっかりと見て眉間にシワを寄せる。
「君は副顧問はどうするつもりだい?」
っ!!そ、そうだった……。
「……」
副顧問……。枝木先生のことに集中しすぎて忘れていた。
「ハッハッハ。何か一つのことに集中できるのはいいことだ。実はこの学校にはもう一人陸上経験者がいる。3ー2の野江先生だ。野江先生に話をしてみてはどうだね。こちらからの許可はもう出しているので、野江先生が了承したら成立だ」
3ー2……。上級生は少し怖いが頑張って言ってみるか。
「3年の国語の先生だから3年生のフロアに大体はいるよ」
「ありがとうございます!!」
僕は立ち上がり頭を下げる。
「頑張ってくれよ、新黒田くん」
その言葉を背に僕は校長室を出た。
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