陸上部顧問を探せ!!#1
「何かしら……?」
「どうしたの?もう二つともオーケーもらったでしょ?」
戸惑っている枝木先生と由香とは裏腹に、大輝と雄治は頷いている。
「あの、僕らの顧問になっていただけないでしょうか」
僕がそう言って頭を下げると二人が同時に叫ぶ。
『顧問!?』
由香に至っては階段の踊り場で壁の掲示板に後頭部をぶつけている。さすがに大げさじゃなかろうか。
「陸上部の顧問ってこと、よね……?」
はいそうです、と僕が頷くと枝木先生は困ったように手を顎に当てる。
「してあげたいのは山々なんだけどね、二つ壁があって」
そう言って人差し指を立てる。
「一つ目。私は陸上をしなくなってから10年くらい経っているということ」
んまあ、それに関しては大丈夫だと思う。6年間やってれば体に陸上が染み付いているはずだ。
すると雄治がいらぬことを言い出した。
「あれ、じゃあ先生って27、8、9歳くらいなん──」
「それは言わないお約束よ。分かったわね?」
笑顔だった枝木先生が無表情になり、雄治はガクガクと頷いている。
「んで二つ目。私は今女子バレー部の顧問をしている」
何事も無かったかのように話を進める枝木先生。
「しかし、女子バレー部は高中の中で最も多い4人もの顧問がいます。枝木先生がこちらに来ることは不可能ではない、いえ可能なのではないでしょうか」
大輝がそう言って先生を追い詰める。
「そ、そうね……とりあえず他の先生に相談してみるわ」
枝木先生はそう言って「とりあえずポスターと学年朝会の件は了解したわ」と階段を登っていった。
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