陸上部員を探せ!!#6

「他に先生方から何か諸連絡は……」

 進行していた先生がそう言うと枝木先生が手を上げた。

「私ではないのですが……新黒田くんたち、どうぞ」

 一斉に視線が僕らに集まる。僕らは立ち上がり前に立つ。窓が全開になっている体育館はこの時期少し寒いな、そんなことを考えながらポケットから原稿を取り出す。大輝が急ピッチで書き上げてくれた原稿を片手に深呼吸をする。

「すぅ〜……はぁ〜……」

「落ち着け」

 雄治に目線で「ok」と伝え、一歩下がる。枝木先生が「礼」と言い、僕ら4人は頭を下げる。

「み……皆さんおはようございます。新黒田健人です。さて、僕ら4人は一丸となって陸上部を作ろうとしているところです」

 最初一言を言うときは緊張したが心の中で割り切ったのかなんなのか一瞬にして緊張がなくなった。

「しかし10人以上、という部活動規定にはまだまだ及びません。そこでこの場を借りて皆さんに、陸上部という選択肢もある、ということをお知らせさせていただきました」

 さて、最後の文だ……。

「陸上部に入ろうと思う方は、僕ら4人のうち誰かのところへ言ってください、よろしくお願いします!!」

 僕は眼鏡がずり落ちそうになるほど大きく頭を下げる。きっと3人も同じような体勢だろう。

 頭を上げようとすると先生たちの方からパラパラと拍手が巻き起こり、それはあっという間に生徒たちにも広がり非常に大きなものとなった。

 僕らは一斉に頭を上げた。

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