鴨檻先生暴行事件での暗躍#02

 と、その時。大輝がやってきた。

「よう。健人。何か騒がしいな……」

「大江と滝梨が鴨檻先生を殴ったらしいよ……」

「嘘だろ!?」

「あの2人は前から荒れてたからね〜」

 そう言っていつの間に来ていたのか雄治が会話に参加してくる。

「ああ、確かに荒れてたのは間違いないな」

「どんな感じだったん?」

「小3かそんくらいの時には授業中に逃げ出したり、他のやつらと殴り合いのけんかして、学級崩壊ぎみになってたし、」

「そっか小3の時大輝、2組の学級委員だったか。小5の時には先生の言うことをまったく聞かなくて、先生が胃潰瘍になったし」

 交代で説明してくれる2人。

「そりゃひどい……。さすがに何かしらの罰はあったんじゃないの?」

 そう聞くと、2人共首を振る。どういうことなのだろうか。

「大江は親が県議会の有力な議員だし、滝梨は流鏑馬市内で一番でかい病院の院長の息子だし」

 その言葉にはっとする。引っ越してきた日、途中に「滝川病院」という看板が見えていた。でも「川」は……。

「健人、知らないか?滝川病院」

 やはり、あそこか……。

「引っ越してくる途中で見かけたよ。でもなんで「川」?」

「ああ、あそこ滝梨の親と大川って人が共同でやってるらしいんだ」

 そういうことか……。

「大江の方も滝梨の方も、怒らせてはマズいから、先生もなかなか注意できないんだよ」

「誰か、やったことあるんかね……」

「大江は元々、流鏑馬じゃないとこの学校にいたんだけど、そこでやらかして先生が注意したら大江の親が逆ギレして、先生は退職させられて、大江たちはこっちに来たんだとさ」

 そりゃまた大事ですな……。

「滝梨は元々はそう悪くは無かったんだけどね……」

「小二で大江がこっち来てからだよね」

 朱に交われば赤くなる、と言ったようなものだろうか。

 その時、噂の2人がやってきた……。

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