第20話 事象:ITにおける『元』女神の意図的な介入について
「ん……んあ……。んん、ん? おいちょっと待て……なんで俺寝てんだよっ」
がば、と跳ね起きる。
瞬時に俺は周囲を見渡した。
今まで寝ていた木製のベッドの横には、エンドテーブルがあり、その上にはカンテラのようなモノが一つ。その中には淡い光を放つ石――光の魔石が入っていた。
それはライトのような役割を果たしており、薄暗いながらも、部屋の全貌を見るには十分な明かりだ。
木製のテーブル、イス、化粧台――手入れが行き届いている。まるでこの前まで誰かが住んでいたような部屋だ。
訪れたのは、安堵。
ここはあの森の中でも、ゴブリンの腹の中でもない。少なくともクラウとハットリは無事でいて、俺の事をここまで運んでくれた事が伺える。
そこまで思い、気付いた。
一枚のメモがテーブルに置いてあったのだ。
手に取り、読んでみる。
そこには、クラウから俺へのメッセージが書かれていた。
メッセージと言っても、愛情が籠っていたりするわけじゃない。事務的な報告だ。
内容はこんな感じだった。
俺がゴブリンとの戦闘で倒れた後、ハットリが冒険者ギルドに救援部隊を要請した。そのおかげで、俺達は無事に王都に戻ることができたという。なお、ゴブリンの素材はハットリとクラウで解体したらしい。
そうして、俺が冒険者ギルドの治療室にて診断を受けている最中、ハットリは受付のお姉さんに薬草納品依頼の達成報告、並びに魔物素材の換金をした。
クラウが聞いた限りでは、ハットリも今夜宿がないそうだったので、自分とハットリで一室、俺の為にもう一室、冒険者ギルド直営の宿屋をとった。
なお、俺の診断結果は、魔力不足による昏倒だとのこと。
治療院直属の兵士たちが、宿屋まで俺を運んでくれたそうだ。
「……よかったぁ~~……! みんな無事だったんだなあ」
一人、背伸びをしつつベッドに倒れこむ。
すると。
むにゅ、という音と共に、
「ぁんっ」
どっかで聞いたような声がした。
「えっ!?」
慌てて振り返るとそこには――
「はろー♡ 追いかけてきちゃいましたよー」
金髪巨乳羽付美女が、(多分)裸で横になってた!!
ヤッホウ!!
いや、でもどっかで見たことある顔だ。
まさしくキレイ系の極地みたいな顔。頭の奥で何かが引っかかるのを感じた。
だけど、どこだったかな。つーか金色の羽キレイだなー。
いや、今はそうじゃないだろ! 俺!
すげぇいい乳してんな、とか、布団で隠れてるけど、服着てないように見えるのは気のせいかな、とか思ったりとかしちゃったけど。
これがラブホだったら完全に致すところだが、残念だが、非常に残念だが、本当に残念だが! 今はそうじゃない!
「ちょ、ちょ、ちょっと待て。今、だれも居なかったよな!?」
「そうですねー。今来たばっかりですし」
「あんた誰だっ!?」
「えっ……お、覚えて、ないんですか……?」
あれ、俺なんかミスった?
泣きそうな顔されて、罪悪感MAXなんですが。
もう一度、よーく顔を見てみる。
――その時、一人の人物の顔が俺の脳裏によみがえった。
あいつだ。
マリーさんだ!
「マリーさん! 来たのか!?」
「……もう、それでいいです……」
「うぉおおおおおおお!」
「え、え!? な、なんですか雄叫び上げないでください!」
すっげぇ、本物だ! マリーさんだ!
「ひっさしぶりぃ、元気だったぁ!?」
「チャラいです! 非常にチャラいです!」
「胸揉ませてくれぇえええ!!」
俺はたまらずマリーさんのおっぱいを鷲掴みにした!
「ちょっ、やん、揉まないで――あぁんっ♡」
この溢れんばかりのおっぱいの柔らかい感触――この喘ぎ声……!
マリーさん……!
むにむに、こりこり、むちむちだああああ!
はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ!!
一揉みで体の芯から熱が込み上げてくるのを感じる。
うっすら感じていた飢餓感は、マリーさん不足だったんだネ! ははは!
「やっ、背中つー、ってしちゃ、だめですっ、はひっ」
ヤバス、これヤバス!!
いい乳だ!!
いい身体だ!!
まさに女神!
さわり心地といい、喘ぎ声と言い、首筋の味といい!
最高だあああああ!!
「ほ、ほんとにダメぇっ! な、何でこんなに上手くなって――あんっ! ひぁぁあ! な、何か、来ちゃ…っ、…っちゃ、うぅっ!」
「ふひ、ふひひひひひひひひひひ!! マリーさんぺろぺろ! ぺろぺろぉおおお!!」
―――――
「ら、らめれす……も、うこれいじょ、らめぇぇ……こわれひゃう、こわれひゃいますぅぅ……」
俺が正気に戻った時、もう取り返しがつかない位、マリーさんは乱れてた。
つーかやっぱり全裸だった。
……。なんかシーツに水しぶきみたいなシミがあるんだが……全然記憶ネェぞ俺。何した俺。
心なしか俺の服まで水が飛んできてたような記憶が――。いや、この記憶は夢だ。夢に違いない。
「ご、ごめん、我を忘れちまって――」
やっちまった。
これは本当にやっちまったかもしれん。
土下座じゃ、すまねぇよな。死の覚悟が必要か。
「ひく、ぐす……さ、三回も――あぅぅ、余韻、がぁ……んうぅぅっ」
ビクビクと体を震わせて甲高い声をあげるマリーさん。
色っぽいなぁ……。じゃなくて! 今は謝罪をしなきゃいけない時だ。
その一糸まとわぬ女神様の背中は、ほら、劣情をすっごい掻き立てるけどさ。もう腰のラインとかなんだよ! くびれまくってるよっ! しかも後ろからでも横乳視えるとかなんだよっ! どんだけデカイんだよそのおっぱい! 女神か!? ああ、女神か!! もう少しお尻あげてくれないかなぁ……。
おいおい俺何言ってんだ!!
……落ち着け、マジで襲いかねん。
ほら、マリーさんがこっちを涙ぐんだ目で見て来てるじゃ――
「も、もう、やめちゃうんです?」
「うぉおおおおああああああああああああ!! ダメだ! やっぱりマリーさんだ! だから嫌われんのは慣れてるけどそういうのはダメなんだって! 本当にスマン! 死ぬ覚悟はあるから許してくれ――」
「続き、しないんですか……?」
もう俺の顔は真っ赤だ。
断言しよう。
今ならこの光景だけで十回は抜け――いや、これ以上言うのはダメだ。
「だ、だめだ」
「なんでですか? これだけ私の身体をまたもや弄んでおいて、最後までしないなんて、あなたそれでも男なんですかっ!?」
「えぇ!? 自分から襲ってくれみたいなこと言っていいのか!? それでいいのかマリーさん! あんた仮にも女神だろ!?」
「うるさいですね! この根性なし! そんなだから童貞のままなんですよっ」
うぐぅ。痛いところつきやがって。
「じゃ、じゃあ最後までやっていいのかよっ?」
「……」
そう俺はマリーさんに問う。
黙り込むマリーさん。
してやったり。やっぱり女神とはいえ、人間と致すのは抵抗があるんじゃ――
「全部、言わせる気ですか……?」
え、あ。
なんか、顔真っ赤なんですけど。
ちょ、腕を俺の後頭部に回さないで。
抱きしめないで、ああ、キスしようと顔を近づけてこないでくれぇえええええええ!
――それは、俺とマリーさんの唇が触れあう寸前だった。
「うるさいわね! 一体何してんの……よ」
ドアが開いたと思ったら、外に、クラウさんが、居た。
「……は、はろー……クラウさん……」
硬直する彼女と、俺。
マリーさんは胸を押し付けるのをやめなさい。
たった今、俺的に修羅場だから。気持ちよくするのやめて。
「待ってくれ、これには海よりも深い事情が――」
「変態」
無情にも俺の言葉は響かず。
閉ざされたその扉はあまりにも遠く。
えと、ロード、できないかな? これ。
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