第9話 当事者、追い込まれる?
作戦は順調だった。
想定外だったのは、この状況でも彼女が致命傷となる攻撃を受けていない事だろう。
勿論、2日間戦って彼女の意外性は十二分に理解したつもりだ。
「一旦後退ッ」
僕は準備が出来た事を確認した後、全員に後退を指示した。
『ちょっと待て、これは何かヤバイでッ!』
そう呟いた彼女の足元には、巨大な魔法陣が現れていた。
事態の深刻さに気が付いた彼女は必死でその場から離れようと走り出す。
が、既に詠唱は終わり、残酷にも魔法は繰り出された。
「メテオ・フレイムッ!」
巨大な火の玉が彼女の頭上に落ちる。
その衝撃は凄まじく、爆風となって辺りに広がった。
…………。
本来なら一撃必殺とも言える上級魔法だが、相手は彼女だ。
僕達は、気を緩める事なく爆風が収まるのを待ち、様子を伺った。
『あーマジで死ぬか思った』
案の定、巨大な盾で魔法を防いだらしく、ダメージは負っているが決定打にはなっていない様子だった。
「前衛、前へッ!」
『ぉおっと、そうはいかんでー』
僕は間髪入れず、指示を出した。
しかし、彼女はこのタイミングで煙玉を使用し煙幕を張ったのだ。
「クソッ! 逃げられたか」
「いや、待ってください」
このタイミングで逃げられたのなら、僕らの時間切れだ。
今回の任務の期限は3日、今日はその最終日なのだ。
…………。
ゆっくりと煙幕が消えていく……そして、その中に佇む人影。
「……やはり時間稼ぎか」
僕の言葉に全員がいつでも動けるように身構える。
彼女は何をしようとしているのか、それを確認する為に僕は目を凝らした。
…………ッ!
「ぜ、全員退避ッ!」
僕が指示を出した瞬間爆音が響き渡り、それと同時に鉄球がこちらに飛んで来た。
「ち、ちょっと待て! 大砲だとッ!?」
そう、彼女の目の前には大砲が5門も並んでいたのだ。
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【スキル紹介】
【メテオ・フレイム】
上級火炎魔法の一つ。
隕石の様な巨大な火球を対象に落とす魔法。
その効果範囲は広く、小さい村や町であれば消滅させることも可能。
威力は、並みの
まさに、一撃必殺の範囲魔法である。
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