第3話 当事者、暇を持て余す。



 髪飾りを付けた女の子に起こされた私は、ようやく来たのかと寝ぼけまなこで周囲を見渡す。



「ふぁ〜あ。やっと来たんか」



 避難勧告が出され、遂に冒険者共と戦争けんかが始まる。


 そう意気込んでいた私は、街の中央にある広場で仁王立ちして彼らが来るのを待ちわびていた。


 しかし、待てども待てども彼らは一向にやって来ない。



「待ちくたびれて、寝てもうたやんけ」



 私は立ち上がり、準備体操をしながら冒険者の数を数えていく。



 ひーふーみーよー、……12人か…。



 少々締まりが無い感じになったが、やっと戦争けんかが始まる。


 そう思っていた矢先、何やら冒険者共が揉め始めた。



「おーい。何か揉めてるみたいやけど、大丈夫かー?」



 遠目に私を見つめながら、話し込む冒険者共。


 完全に私は蚊帳の外だ。



「はぁ。取り敢えず、メシでも食うか」



 私はアイテムボックスから昨晩酒場の従業員おばちゃんに作って貰った料理とエール樽を取り出し、昼食を取る事にした。



「暇やし、冒険者共やつらのステータスでも見るかッ」



 私はジョッキを片手に暇つぶしを始めた。



 取り敢えず、さっき起こしてくれた女の子からッ



「鑑定ッ!」




 【名 前】 ハナ

 【年 齢】 15

 【職 業】 Bランク冒険者 弓使いアーチャー

 【レベル】 19

 【状 態】 混乱

 【体 力】 154

 【魔 力】 73

 【攻撃力】 113

 【防御力】 105

 【俊敏性】 146


 【スキル】 弓術 Lv.3 忍び足 Lv.1 千里眼 Lv.2




 え? ウチよりレベルは高いけど、めっちゃ弱いやんッ。



 これでBランクの冒険者なのかと少し残念になりながら、次の冒険者を選ぶ。



 あ、あの髪長いおっちゃんは強そうや。



「鑑定ッ!」




 【名 前】 タイラー

 【年 齢】 31

 【職 業】 Aランク冒険者 サムライ

 【レベル】 71

 【状 態】 通常

 【体 力】 289

 【魔 力】 98

 【攻撃力】 256

 【防御力】 157

 【俊敏性】 218


 【スキル】 剣術 Lv.Max 会心 Lv.4 心眼 Lv.3 瞑想 Lv.1


 【装備スキル】 名刀桜華:桜華一閃




 おッ♪ おっちゃんは結構強いやんッ。



 ん? でも、何やこの『装備スキル』って?



 私が上機嫌で冒険者のステータスを閲覧していると、少し冒険者がざわついていた。


 私は顔を上げ冒険者共へ視線を移す。



「ん? 準備できたんか?」



 私が再び尋ねてみても、遠目に私を眺めるだけで何もしてこない。


 何やら、再び揉めている。っと言うか、吊り目の女が私の事を指差して何か言っている様だ。



 なんやねん、あの女ッ!



 少々頭に来たので、その女のステータスも見る事にした。



「鑑定ッ!」




 【名 前】 エリーゼ

 【年 齢】 19

 【職 業】 Bランク冒険者 剣士フェンサー

 【レベル】 38

 【状 態】 通常

 【体 力】 203

 【魔 力】 113

 【攻撃力】 185

 【防御力】 131

 【俊敏性】 176


 【スキル】 剣術 Lv.6 会心 Lv.1 受け流す Lv.2




 ふんッ! まあまあやな。ウチの方が全然強いけどなッ。



 女剣士のステータスに文句を言いながらエールを煽っていると、私に向けられた殺気を感じた。



『ハナッ! 待ってッ!』



 リーダーらしき騎士の叫び声が聞こえた。


 その瞬間、私に向かって矢が飛んでくるのがわかった。


 勿論、そんな殺気を放ちながら放った矢に当たる筈もなく、私はその矢を掴んで見せた。



「危ないやんけッ! 始めるんやったら早よ言えよッ!」



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討伐対象カオルの第一印象 その1】


【ハナ】

 弓使いアーチャー 女 15歳

 「かわいい寝顔で眠るお姉さん」


【タイラー】

 サムライ 男 31歳

 「ごく普通の町娘」


【エリーゼ】

 剣士フェンサー 女 19歳

 「……私より胸、大きいわね」


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