第6話 お尋ね者、浮かれる。



「フ、フゥ〜〜ンッ♪」



 最近は何事も無く、日々賞金稼ぎサイフどもから所持金おこづかいもらう生活が続いていた。


 その為、私のサイフは思った以上に暖かかった。


 それにともなって、今日は以前から鍛冶屋に頼んで作って貰っていた物を引き取りに行っていたのだ。



「やっぱ戦闘けんかと言ったら、コレやんな〜」



 実は、この間の傭兵どもとの戦闘けんかで身にしみたのが、得物ぶきの重要性だ。


 結局、あの時は連中から得物ぶきを奪いながら戦った。


 あの時は、私のユニークスキル『天才肌じゃじゃ馬』のお陰で、どの得物ぶきも何不自由なく使用する事は出来た。


 が、私としては余りしっくりきていなかったのだ。



「特注ってのが、またええよな〜」



 今回、鍛冶屋に無理を言って作って貰ったので、結構な額を請求された。


 それでも、異世界ここでただ一つの私専用の武器が完成したのは事実だった。



「早速帰ったら、ヤヌックで試し振りせな〜」



 そんな冗談を言いながら、上機嫌で酒場への道を歩いていた時の事だった。



『……ぁ……さん』



 ふと、路地裏から声が聞こえたような気がしたのだ。


 念の為に覗いておくか、と私は路地裏に足を踏み入れた。




 ***




「ぁね……さん……」



 …………。



 路地裏そこにはヤヌックが、見るに堪えない姿で倒れていた。



 …………ぁ。



 一瞬で血の気が引いた。



「ぁね……さん。……ずぃ「しゃべんなッ!」」



 私は乱暴にヤヌックを担ぎ、酒場へ急いだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る