第7話 お調子者、再びナンパされる?



 突如目の前に現れた男性イケメンに少々困惑しながらも、私はさいの目に切られた一口大のステーキを口に運ぶのは止めなかった。



「ふぉうぼ」(どうぞ)



 私の返答に男性イケメンはニッコリと微笑むと従業員おねえさんにエールを注文した。



「僕はサンディス。聖なる盾アイギスといパーティでリーダーをさせて貰っている」



 やって来たエールを一口煽ると、男性イケメンは自己紹介をしてきた。


 私も皿に乗っていた肉を平らげた事もあり、サンディスイケメンに自己紹介した。



ウチはカオル。別に名乗る程のもんちゃうけどな」


「もしかして君が、傭兵団を1人で壊滅させたっていう『鬼神のカオル』かい?」



 私の名前に反応したサンディスイケメンは突っ込んだ話をしてくる。


 これ以上話すことはないと思った私は、エールを一気に飲み干した。


 すると、サンディスイケメンは再びエールを注文した。



「これで、話せってか?」


「いやいや。そういう訳では無いけど、もう少し君と話がしたいなって」



 そう言ってウインクするサンディスイケメンに私も満更でも無かったので、話を続ける事にした。



「その『鬼神のカオル』ってのは知らんけど、傭兵団を倒したんわウチらしいで」


「らしい?」


「最初の20人くらいは数えとったんやけどな、最後どないなったか知らんねん。子分ツレの話やと、倒した敵の山の上で立ったまま気絶しとったんやって」



 私の話を聞いていたサンディスイケメンが生唾を飲み込むのがわかった。



「君は自分が…「カオル殿、お待たせ致した」」



 サンディスイケメンが何か言おうとした所にタイミング良くアイヴォンのんべぇがやって来た。



「おや? サンディスじゃないか。早速、カオル殿の勧誘かの?」


「いえいえ、そういうのじゃないですよ。ギルドマスター」



 アイヴォンのんべぇが話し掛けるとサンディスイケメンは立ち上がりその場を去って行った。彼がいたテーブルの上には金貨1枚が置かれていた。




 ***




「さて、カオル殿。今日は其方そなたのステータスを確認しようと思っておる」


「ステータス?」



 お会計を済ませ、受付の方へと歩きながらアイヴォンのんべぇは話を始めた。


 結局、お会計は全部で銅貨5枚だった。流石に悪いので、サンディスイケメンに今度会ったらお釣りを返そうと思った。


 そして、アイヴォンのんべぇが熱心に何か説明していたようだけど、考え事をしていた私は一切話の内容を聞いていなかった。



「これがその魔道具になる!」


「……」



 アイヴォンのんべぇは目を輝かせながら、地球儀のような道具を私に見せた。



 やばいで、全然話聞いてなかったわ……



「早速、其方そなたのステータスを確認するぞ。ささ、この水晶の上に手をかざすのじゃ」



 取り敢えず、言われるまま私は魔道具とやらに手を翳(かざ)す。


 すると、魔道具が光り始めた。



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【登場人物紹介】


【サンディス】

 Bランク冒険者 ジョブ:騎士ナイト 男 24歳 


 聖なる盾アイギスというBランクの冒険者が集まったパーティーのリーダーをしている。



 ※ステータスなどの詳細はまた後日。


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