第16話「スカイフィッシュ」

 その日、めずらしくタケシが兄とともに近くのバーガーショップに

 行こうとすると、川沿いの土手の向こうから何かが猛スピードで

 こちらにやって来るのが目に入った。

 見れば、それは円筒形のからだにひれがついた二体の生き物のようである。

「あ、タケシ。たぶんあれスカイフィッシュじゃね?」

 そういわれれば確かにそうだ。

 ハイスピードカメラで撮影するとみられるというが、

 今目の前にいるのは確かに実体をもった生物である。

「おー、珍しいな。きっと今日は良い事あるかもな。」

 そんなのんきなことを言いながら、タケシの兄は頭の後ろで腕を組む。

 すると、その機会を逃さんと言わんばかりに二体はタケシの兄の

 両脇に入り込むと、そのまま彼ごと上昇した…

 …こうしてこの日、タケシの兄はバーガーショップにもいけず、

 幻の生物とともに空の彼方へと消えて行ったのである…。

 

 

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