第11話「ゾンビウイルス」
『緊急事態発生、緊急事態発生、至急レベル7の隔離をおこないます。』
シャッターが降ろされると、残りの研究員たちは防護壁を必死に叩いた。
「開けてくれ!嫌だ、俺はゾンビになんかなりたくない!」
「いやぁ!ここから出してぇ!」
その後ろを土気色をした数人の研究員がおぼつかない歩どりでせまってくる。
彼らの体にはどこか引っ掻かれたあとや、かみ傷がついていた。
そして、彼らの目は白濁し、だらりと垂れた舌はみな紫色をしている。
…それは、まぎれようもなく死者の顔そのものであった…!
「くそお!ウイルスが漏れるなんて!ワクチンは向こうの部屋なのに…!」
そして、室長がもうだめだと思ったそのとき、
「あのお、ピザ屋のバイトのものなんですけどぉ、ここ、どこっすか?」
ふいに現れたピザ屋のバイトに、なぜか一斉にゾンビたちは襲いかかった。
「え?ん、あああ!?」
ゾンビたちの行動は先ほどとは違い、
明らかに統制された動きでバイトの人間ひとりに群がっていく。
それを見て、室長はすぐに判断した。
「至急、向こうの部屋に行ってワクチンをとりにいくぞ!
大丈夫、彼がおとりになってくれるようだ!」
その言葉に勇気づけられた研究員たちは室長に続いて
ワクチンを取りに向かった…。
…こうして、この研究所はウイルスの拡大を防ぐ事に成功したが、
後にこのピザ屋のバイトくんがタケシの兄であると知れ渡るのは、
もうすこし先の話であった…。
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