第4話「人面犬」

 タケシが下校途中、とつぜん男の声に呼び止められた。

「おい、お前。こっちを見ろ。」

 見れば、近くにいるのゴールデンレトリーバーが一匹だけだ。

 なんだろう、犬がしゃべるわけないし…。

 そう思っていると犬がくるりとこちらを向き、声をあげた。

「おい、俺が声をあげているんだよ、坊主。」

 その顔を見てタケシは驚いた。

 それは犬の顔などではなく、

 まぎれようもなく中年男性の顔そのものであった。

 そして、その口が上下に開く。

「く…喰われた…こいつの言う事を聞かないと…こうなっちまう…ぞ!」

 そう、そこには犬の口から必死に抜け出そうとする

 …タケシの兄の顔がのぞいていた…!

 

 

 

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