第27話「抗議の手紙」

 タケシのおにいちゃんへ

 

 タケシのにいちゃん、このお手紙を読んでいますか?

 ぼくはとってもおこっています。

 りゆうはタケシのにいちゃんが、ぼくの作った大事な

 ものを持って行っちゃったからです。

 

 タケシのにいちゃん、

 今日は何日か知っていますか?

 そう、10月の30日です。

 そして明日は10月の31日です。


 その日がなんだか知っていますか?

 そうハロウィーンです。

 おばけのかっこうをして、かぼちゃの容れ物をもって、

「トリック・ア・トリート」

 って言ってお菓子をもらうあの日です。

 

 そして、その日までにぼくらはかぼちゃを顔のかたちに

 ランタンをくりぬいて先生に出すのがぼくの学校の宿題

 でした。

 

 ぼくもおうちでいっしょうけんめいランタンを作りました。

 くりぬいて、くりぬいて、ホンモノみたいにじょうずに

 ランタンを作りました。


 でも、それを乾かそうと外に出していたときに、じけんは

 起きました…そうです、タケシのおにいちゃん。

 にいちゃんがこなければ、こんなことはおきませんでした。


 あの日、タケシのにいちゃんがぼくの家の前を通りかかった

 とき、とうとつに新聞の上にのっていたランタンが浮かび

 あがりました。そうして、急にマントが生えたと思うと、

 タケシのにいちゃんをつかんでつれさったのです。


 …タケシのにいちゃん。ぼくはおこっています。

 ぼくのパパとママはもうランタンは帰ってこないと言いますが、

 ぼくはあきらめきれません。

 ぼくのランタンを返してください。

 

           タケシのおにいちゃんが 

           明日までにかえってくることをねがって。


                三年五組 こうさわ たくみ

 

 

 

 

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