File.12 悪鬼との戦闘
「死ねぇぇぇぇぇぇえええええ!!」
近づいていく騎士テイラーに向かって、フィーンドが叫んだ。
「近寄るなああぁぁぁあああ!! 殺されたいのかああぁぁぁあああああ!!」
どうやら、向かってくる騎士テイラーに怯えているようだ。
仮にも、フィーンドは殺戮者である。
怯えられるのは、むしろフィーンドの方なのだが……
「俺を殺そうとするなあぁぁああぁぁぁあああ!!」
そして、フィーンドはまた血の斬撃を辺りに撒き散らし始めた。
騎士テイラーは、紺色の剣で的確に血の斬撃を払っていき、更に前進した。
ズダダダダダダダダダダダダ!!
その後ろからは、父親がサブマシンガンで援護射撃をしている。
ていうか、本当に片腕だけで撃っているぞ……
どんだけ鍛えているんだ?
「ケインさん! フィーンド氏には当てないでくださいね!」
騎士テイラーが血の斬撃を受けながら叫んだ。
フィーンドが死んでしまう危険性があるからだろう。
「安心してください! 麻酔弾ですから!」
サブマシンガンを撃ち終えた父親は、大きな声で返した。
よく、そんなものを用意できたなあ……
だが、麻酔弾は全て血の斬撃に当たり、地に落ちている。
全く麻酔弾が役目を果たしていない。
父親は結構マヌケだったんだろうか?
「お前らぁぁあああああぁぁぁああああ!!!!」
そんなことなどお構いなしにフィーンドは鉈を振り回し続ける。
フィーンドには、きっと周りの事が何も認識できていないのだろう。
恐怖によってかは分からないが、それに似た感情で心のコントロールができていないんだ。
「後、もう少し!!」
騎士テイラーが、血の斬撃を必死に防ぎながら言った。
騎士テイラーとフィーンドの距離は、もうそんなにない。
後もう少しすれば、騎士テイラーの紺色の剣が届きそうだ。
これで、騎士テイラーがフィーンドに峰打ちを決めれば、この惨劇は終わりを迎えるだろう。
少なくとも、フィーンドに関することは……
その後は、フィーンドが何故殺戮に走ったのかの事情を調査すれば、この事件は片付く。
謎の武装集団のことが残っているが、ヴィールの発言からすると、それなりに大きな組織のようだ。
そっちの方は、警察や騎士、はたまた軍がどうにかするだろう。
ふう……
これでこの事件は解決か……
でも、どうしてこの事件が、父親が死んだ事件になったんだ?
今のままだと、これでおしまいだが……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます