Story.7 父親の形見
「それなら、大丈夫か。ところで、そのビデオテープは何処で見る?」
ビデオテープの問題は解決し、次に問題になったのはビデオテープの中身を見る場所だった。
家に持ち帰って見るのは、いくらなんでも良くないだろう。
仮にも騎士団が他者に公開してはならない『イレイズド・ファイル』だ。
もし、紛失でもしたら、俺とレフシィの身が危ない。
「それだったら安心して。閲覧室を使えるようにしておいたから」
だが、レフシィは既にこの問題を解決していた。
流石、俺の弟だ。
「早いな……。それじゃあ、早速移動するか」
そう言って、自分の荷物をまとめることにした。
ここに戻って来ることはないだろうから、デスクに残しておいてもいい私物以外は、持っていかないと……
ガッシャン!!
金属がぶつかる音が部屋中に響いた。
また、やってしまった……
未だに、うまく背負う方法が思いつかない……
「兄さん……そろそろ、それ替えない?」
レフシィは冷ややかな視線を、俺の背中から顔を出している銃口に向けていた。
「仕方ないだろ。秘力の媒体なんだから……」
時々、邪魔だなあと思うこともあるが、替える気は起きない。
その理由は、このマシンガンが父親の形見だからというのもあるが、それ以上に便利だからという方が大きい。
いったい、父親はどんな魔改造を施したのか、とにかく高性能だ。
シングル・バーストの切り替えができる上、銃口部分には何故かスタンガンが付いているため、近距離戦にも対応できる。
しかも、どうやって手に入れたのやら、ブレイブラッド帝国製の一級品で、ライティーン王国内で製造されているマシンガンとは比べ物にならない程、使い勝手が良い。
さっき、うまく背負えなかったけどな……
「もう少し、使いやすい武器にした方が良いと思うよ」
レフシィの武器は剣だ。
と言っても、レフシィのはレフシィので、ただの剣ではない。
母方の家系の宝で、レフシィに発現した秘力が水属性ということが分かった時にレフシィに託された物だ。
その名も『烈水剣』と呼ばれるもので、剣身には未知の鉱物が使われている。
その未知の鉱物のせいなのか、その剣を使うと水属性の秘力の精度が飛躍的に上がる。
多分、俺のマシンガンよりも値が張るんじゃないだろうか?
「考えておく」
俺は適当に返事をした。
もちろん、考えておくつもりは全くない。
俺の返事を聞いたレフシィは、「はぁ」とも「ふーん」ともつかない溜め息をついていた。
多分、俺の「考えておく」が嘘だということが分かったんだろう。
さて、そろそろ閲覧室に行くか……
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