Story.6 騎士団

「なあ、レフシィ。どうして、これが父親が関わった事件だって分かったんだ?」

 早速、俺はレフシィに質問してみた。

「それなんだけどね……」

 すると、レフシィは突然、深刻そうな顔をした。

 何だ?

 まさか、中身を全部見て分かったとかじゃないよな?

「バルドス先輩に事情を説明したら、このビデオテープを渡されたんだ……」

 ん?

 どういうことだ?

「それって、バルドスは俺たちが父親のことを調べていることを知っていたってことか?」

 俺は更に質問した。

 警察に入ってから父親のことを調べ始めたことは、誰にも言っていないはずなんだけどな……

「いや、そういうわけじゃないみたい……」

 レフシィが答えてくれたが、それではますます分からなくなる。

 いったい、バルドスは何でそのビデオテープをレフシィに渡したんだ?

「昔、ある人が騎士団をやめたとき、「ケインの息子たちに」って、王族にお願いしていたらしい」

 ケインとは、俺とレフシィの父親の名前だ。

 一応、父親が関わった事件ということは間違いないようだ。

 しかし、騎士が王族にお願いした?

「妙な話だな……」

「僕もそう思った」

 レフシィが俺の感想に同調した。

「でも、騎士が関わっているんだから、父さんの最後の事件の記録であることは間違いないよ」

 そして、力強く俺に言ってきた。

 根拠がいささか微妙だが、今の騎士団のことを思えば、そう思いたくなるだろう。

 今の騎士団は、歴代の騎士団の中でも凄まじい体たらくぶりを発揮している。

 それこそ、「警察や軍の方が優秀」と巷で言われるレベルだ。

 そのせいで、近年『イレイズド・ファイル』が増加の一途を辿っているという噂が警察内で流れている。

 どうも、今の騎士団は『イレイズド・ファイル』を、不祥事を隠す手段と解釈しているようだ。

 本当は、王族の名誉を傷つけないために「仕方なく隠す」ための物なんだけどなあ……

「そういえば、その事件は14年前に起きた殺戮者絡みの事件だろうな?」

 確認した理由は、いくつかある。

 1つは、母さんが言っていたことが本当かどうか。

 これは単に、母さんが嘘をついていないかの確認だ。

 もう1つは、起きた年が合っているかどうか。

 こっちがもし違っていたとしたら、『血塗れ悪鬼事件』は父親とは全く無関係の事件ということになる。

 父親が死んだ年は、覚えているからな……

「もちろん。それはバルドス先輩にも確認を取ったよ」

 レフシィが明るい声で、返事をした。

 どうも、警察になってから疑り深くなってしまった……

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