Interval Story 1
ブレイブラッド帝国の工作員
Story.9 突然の中断
ブチッ
というところで、突然画面が黒くなった。
え?
これで終わり?
別に父親は死ななかったぞ?
何が、父親が関わった最後の事件だよ!
レフシィは、違うビデオテープを持ってきてしまったのか?
「ふう。これで1本目は終わりかあ」
隣で見ていたレフシィが溜め息混じりに言った。
何?
1本目だって?
「1本目ってどういう意味だよ……」
「あれ? 兄さんに教えてなかったっけ? 後、2本あるんだよ」
そんなの初耳だ。
じゃあ、俺は後何時間ビデオを見ればいいんだよ……
「そんなことより、不思議なことが多い事件だね」
俺が文句を言おうとすると、レフシィはそれをまるで阻止するかのように言ってきた。
まあ、別に父親のことを知ることができるのならば、それでいいんだが……
「そうだな。謎の武装集団が出てきたり、殺戮者の逮捕を妨害してくる奴が出てきたり……」
先程まで見ていたビデオを思い出しながら、レフシィに言った。
とにかく、この『血塗れ悪鬼事件』は、事件に直接関わりのない乱入者が多い。
謎の武装集団は、何故ヴィールとフィーンドの家を襲ったんだ?
そして、炎の雨を降らせた奴は、いったい何者なんだ?
分からないことが多すぎる。
「それに、殺戮者が殺戮者になった動機もなんか変だよ」
確かに……
フィーンドが、何故殺戮に走るのかも不明瞭だ。
パニックに陥っている、と考えてもいいが、それだけでは殺戮に走る理由には程遠い気がする。
殺戮者だって、何かしらの事情を抱えているはずだからだ。
今まで、警察が対処した殺戮者の大半も何かしら訳があって殺戮を行っていた。
それこそ、『セントラル学園虐殺事件』の犯人だって……
いや、これ以上考えるのはやめよう。
自分のトラウマを抉るようなものだ。
「そうだな。何から何までおかしな事件だ」
だが、何故この事件で父親が死ぬことになったのだろうか?
見たところ、父親は並の殺戮者相手に渡り合える戦闘力を持っていたようだった。
常識が足りなかったり、時々間抜けだったりしたみたいだが、少なくとも今の俺とレフシィと同じか、はたまたそれ以上に強かったように見える。
しかも、俺たちは『秘力』に頼っているが、父親はそんなものに頼ってはいない。
戦闘センスだけだったら、父親の方が遥かに高いはずだ。
そんな父親が何で……
「いったい、これからどうなるんだろうね……」
そう言いながら、レフシィは懐から2本目のビデオテープを出した。
どうなるんだろうか……
まるで、予想がつかない……
だが、確実なのは、この事件の間に父親が死ぬということだ。
未だ分からない、何らかの方法によって……
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