File.13 炎の横槍

「喰らえ!!」

 騎士テイラーが、紺色の剣を振り下ろす。

 これで決まった!!

 と思った瞬間、突然画面の中に光源が入り込んできた。

 何だ?

ボガァァァァァァァン!!!

「うわっ!!」

 爆発と共に、騎士テイラーが態勢を崩した。

 その後も続々と赤い光源が、騎士テイラーやフィーンド、その周りにいる警察たちに降り注いだ。

 何者かの秘力攻撃だ。

 やはり、ここで事件が終わるわけではなかったのだ。

ボガァァァァァン!!

ボガァァァァァァァン!!

ボガァァァァン!!

 次々と、『秘力』が爆発を起こす。

 色からすると、この攻撃をしている秘力使いは炎属性だろうか。

 しかし、いったい何者なんだろう?

 わざわざ、こんなことをするなんて……

 フィーンドには、仲間なんているはずがない。

 つい最近になって、殺戮者になった人間だからだ。

 となると、彼を助ける殺戮者などいるはずがない。

 それとも、例の武装集団の一味が、気まぐれで横槍でも入れに来たのだろうか……?

「くっ!!」

ズダダダダダダダダダダダ!!!!

 父親が、『秘力』の雨に向かってサブマシンガンを撃った。

 だが、フィーンドの放っていた血の斬撃と異なり、この炎の秘力攻撃はサブマシンガンの銃弾を受けても、ビクともしなかった。

 かなりの実力者が放っているに違いない。

ボガアアアーーーーーーーーーン!!

ボガーーーーーーン!!!

ボガーーーーーーーーーーーン!!!

ボガーーーーーーーアアアアン!!

 父親の妨害虚しく、炎の秘力攻撃はどんどん激しさを増していった。

「ぎゃああああああああああああ!!!」

 警察の1人が大声を上げた。

 炎が当たり、制服に引火したのだ。

ボガーーーーーーーーーーーン!!!

ボガーーーーーーーーーン!!

 やがて、炎の秘力攻撃は終息した。

 後に残ったのは、複数の負傷した警察と……

「フィーンド氏は!?」

 騎士テイラーが叫んだ。

 いつの間にか、騎士テイラーの目の前にいたはずのフィーンドがいなくなっていた。

 あの秘力攻撃のどさくさに紛れて逃げたのか?

 とてもそんなことができる精神状態ではなさそうだったが……

「逃がしたか……」

 父親が悔しそうに呟いた。

 さっきまで戦闘をしていた場所は、静かになっていた。

「まずいですね……。このままだと更に被害が拡大してしまう……」

 騎士テイラーが父親と合流して言った。

 確かにまずいが、フィーンドは完全にこの場からいなくなっている。

 何処に行ったかは全く分からない。

 これでは、フィーンドを捕まえることが出来ない。

 暗礁に乗り上げたな……

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