File.9 悲鳴の接近
画面が大きく揺れた。
ビデオカメラ持ちが慌てて、ビデオカメラを担ぎ上げたんだ。
「あ、スイッチ切り忘れてた……」
「そんなことはどうでもいい! さっさと行くぞ!」
ようやく、ビデオカメラ持ちがビデオカメラの切り忘れに気付いた。
だが、騎士テイラーはそんなことなどお構いなしだ。
今は目の前の状況を何とかすることが先決なのだろう。
騎士テイラーは、腰にある剣に手を添えながら走っていった。
ビデオカメラ持ちは、動作に一歩遅れを取り、騎士テイラーは先に行ってしまった。
「ケインさん!」
「分かってる! 至急、戦闘態勢を取れ!」
父親もすぐに、近くにいる警察たちに指示を出し、騎士テイラーの後を追った。
どうやら、父親も殺戮者と対峙する気のようだ。
「あっ! テイラーさん、待ってください!!」
ビデオカメラ持ちは必死で騎士テイラーを追おうとしているようだが、ビデオカメラが邪魔しているようだ。
さっきから画面の揺れが激しい。
ズドォォォォォォォォォン!!!
再び、大きな爆発音が聞こえてきた。
おそらく、殺戮者が秘力を放っているからだろう。
このままだと、死者が更に増えかねない!!
と思っていると、ビデオカメラ持ちがようやく態勢を整えたようで、騎士テイラーや父親が走っていった方向に向かいだした。
だんだんと煙の上がっている場所が近づいてくる。
ズグォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!
今度は画面に爆発が映った。
かなり近いぞ!!
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
女性の声が聞こえてきた。
「いや! やめて! やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
何かに向かって悲鳴を上げている。
近くに殺戮者がいる!!
と思ったところで、騎士テイラーも父親も立ち止まった。
騎士テイラーは、紺色の剣を鞘から引き抜いた。
父親も、左手に警棒、右手にサブマシンガンを既に持っている。
……反動は大丈夫なのだろうか?
「うらぁぁああぁぁぁああああぁぁあああああああ!!!」
突然、悲鳴にも似た男の声が辺りに響き渡った。
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