File.16 鉱員ハイド

「いたぞー」

 それから数分後、1人の鉱員が凄く汚れている鉱員を連れてきた。

 どうやら、その汚れている方の男がさっき話題に上がっていたハイドのようだ。

「あ、あの、いったい何の用ですか……?」

 このハイドという男は、酷くオドオドした声を発した。

 こういう性格なんだろうか?

「いや、そんな大したことじゃありません」

「フィーンドについて、あなたは知ってますね?」

 騎士テイラーと父親が、それぞれ言った。

 ヴィールの時とは違い、2人とも大人に対しての喋り方をしている。

「え、ええ。同じ区画で作業していましたから……」

 ハイドはオドオドしながらも、しっかりとした受け答えをした。

「そのフィーンド氏なんですが、殺戮者に……」

「ええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

 だが、騎士テイラーが殺戮者と言ったところで、ハイドは突然大声を上げた。

 な、何だ!?

 騎士テイラーも父親も驚いている。

「あ……あの、すみません……」

 大声を上げた本人も驚いてしまっている。

 ハイドには、殺戮者絡みで何かあったんだろうか?

「本当にすみません。続けて下さい」

「は、はい、分かりました」

 ハイドが謝り、再び騎士テイラーが話を始めた。

「殺戮者になってしまったのですが、ハイドさんは何か、フィーンド氏が殺戮者になる心当たりとかありますか?」

 ん?

 ハイドは、「殺戮者」という単語を聞く度にビクビクしているぞ。

 やっぱり、過去に何かあったんじゃないか?

「ハイドさん?」

 父親がハイドを呼んだ。

「あ、はい! すみません!」

 何故か、ハイドは謝る。

 挙動不審なところがあるな……

「今の話、聞いていましたか?」

 きつい口調で父親が言った。

 どうも、父親にはハイドの態度が、人の話をちゃんと聞いていないように見えたようだ。

「いや、いえ、大丈夫です! はい!」

 とても大丈夫なようには見えない。

 何なんだ、この男は……?

「フィーンドが殺戮者になる心当たりですよね!」

 一応、聴いてはいたようだ。

 しかし、挙動不審すぎないか?

 過去に何かやらかして、警察の御厄介になったとかそういう類のことでもあったのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る