Story.3 生き残りたち
ポンポン
突然、誰かが俺の肩を叩いた。
何だ?
今、仕事中で忙しいんだが……
と思って、俺は肩を叩いた主を見た。
「仕事は順調?」
その肩の叩き主は、俺とよく似た顔の男だった。
そこにいたのが、弟のレフシィだったんだから、当然か……
「まあまあだな……」
俺はレフシィに返事をして、再びデスクに向かった。
レフシィは、俺の1歳年下の弟だ。
俺と同じ、セントラル学園の出身で、『セントラル学園虐殺事件』の生き残りで、警察だ。
ちなみに、『セントラル学園虐殺事件』の生き残りは、何も俺だけじゃない。
例の5人兄弟だってそうだし、他にも本物の王子様とか、ビクト村と呼ばれる村の村長の娘姉妹とか、割と結構生き残っている。
今挙げた人たち以外にも、何人か生き残っているくらいだ。
何故か、俺の友人ばかりが生き残ったが、偶然が重なってこうなったんだろう。
何しろ、逃げ場を塞がれた上で、秘力攻撃の嵐を受けたんだから、生き残れたのは奇跡と言っていい。
そして、その生き残りたちは俺と同じく秘力使いになってしまった。
そのせいで、俺以外の『セントラル学園虐殺事件』の生き残りの下にも推薦状が届いたらしい。
「らしい」というのは、レフシィ宛てにも俺と同じ推薦状が届いていたからだ。
それと、顔見知りの『セントラル学園虐殺事件』の生き残りの数名が、謎の推薦で警察や軍、果ては騎士団に入ったことも理由の1つだ。
俺の友人たちが、全員推薦を蹴る中、彼らは推薦を使ってしまった。
まあ、推薦を使った彼らにしてみれば、「生き残れた上に、警察や軍に入れるなんてラッキー!」程度の認識だったんだろう。
元から、そういう奴らだったからな……
「ところで、そろそろ休憩しない?」
レフシィは、どうも俺と話したいようで、さっきから俺に質問を飛ばしてきている。
「とりあえず、これ処理したらな」
俺は適当に返事をして、目の前の仕事の山に手を付けた。
こんな雑な返答をしたが、レフシィのことを嫌っているわけではない。
レフシィは大切な俺の弟だ。
もっと詳しく説明すると、俺と同じ理由で警察を目指し、俺と同じ原因で秘力使いになり、俺と同じ方法で警察になった、俺の分身みたいな存在だ。
もちろん、1歳も違うのだから、俺とレフシィの人生は要所要所が違っている。
例えば、俺は上司の反感を買って仕事を増やされているが、レフシィは上司の反感をうまくかわして仕事を増やされるなんてことにはなっていない。
ちくしょう!!
ちなみに、親友曰く俺は兄馬鹿だそうだ。
そうなんだろうか?
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