File Group 2

潜みし殺戮者

File.14 紺色の鉱石

 すぐに、スクリーンに騎士テイラーと父親の2人が歩いているところが写し出された。

 今度のビデオテープには編集されたところはないようだ。

「鉱山か……きついな……」

 どうやら、何処かの坂道を上っているようだ。

 紺色の鎧を纏っている騎士テイラーには、辛い行動だろう。

「まあ、現地まで行かなくてはならないのが、ちょっと辛いですね」

 父親が騎士テイラーの発言に笑いながら返した。

 それを聞いた騎士テイラーは、慌てた素振りをする。

 誰にも聞かれていないとでも思っていたんだろうか?

 結構、大きな声だったぞ……

「ところで、事情聴取に他の警察を連れてこなくて良かったのですか?」

「あいつらには、フィーンドの警戒をしてもらわないといけませんから……」

 画面には、騎士テイラーと父親しか映っていない。

 今、この場にいるのはビデオカメラ持ちを含めた3人だけのようだ。

「それもそうですね……」

 騎士テイラーが呟くと、スピーカーからは3人が歩く音しか聞こえなくなった。

「……」

「……」

 騎士テイラーも父親も黙っている。

 どうも、話すことがあまりないみたいだ。

「そういえば、その剣と鎧はどんな素材でできているんですか?」

 突然、父親が騎士テイラーにそんな質問をした。

 何でそんな質問をするんだ?

「え? これのことですか?」

 騎士テイラーは鞘から紺色の剣を引き抜いて言った。

「さっきの戦闘でも、凄い耐久力を発揮していたじゃないですか」

「ああ。これらはルーク鉱石というライティーン王国でしか採れないとても硬い鉱石を使っているんですよ」

「へえ……」

 ちなみに、紺色の剣の正式名称がルークブレードで、紺色の鎧の正式名称がルークアーマーという。

 何故俺が知っているのかというと、俺の友達にライティーン王国の王子がいたからというのが大きい。

 ど忘れしていたけどな……

「今度、何処かで買ってみるか……」

 父親が呟いた。

 買うって、いったい何をするつもりだよ……

「騎士専用にしか採掘していないので、買うのは無理だと思いますよ……」

 騎士テイラーが少し笑いながら言った。

 まあ、普通に手に入れられるんだったら、軍とかにも普及していそうだ。

 それくらい強度があり、戦闘に向いている。

 俺も手に入れられるのなら、手に入れてみたい。

「あ、そろそろ着きますね」

 騎士テイラーの発言と共に、2人とも突然きちんとした歩き方になった。

 父親も騎士テイラーも仕事モードに入ったようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る