File.3 殺戮者の関係者

 正体が分かっているだって……?

 それは、とても珍しいことだ。

 殺戮者の正体を知っているということは、基本的に殺戮者と相対したということになる。

 それで生き残っているということは、次の2つくらいしか理由が考えられない。

 1つは、殺戮者と戦闘し勝利した。

 もう1つは、運良く殺戮者の手から逃れることができた。

 だが、警察に殺戮者相手に善戦する程の戦力はない。

 警察に所属している自分が言うのもなんだが……

 となると、運良く逃げ切れた人でもいたのだろうか?

「それはいったい……どうしてですか……?」

 騎士テイラーが、眉に皺を寄せながら言った。

 どうも、俺と同じようなことを考えて、困惑しているようだ。

「殺戮者の関係者を見つけたからです」

 いったい、どういうことだ!?

 殺戮者の関係者なんて、余程のことがない限り見つからないはずだぞ!!

 そんなことのはずなのに、父親は淡々としている。

 どんだけ肝が据わっているんだ……

「関係者? それはどんな人なんですか?」

 騎士テイラーも落ち着いている。

 流石は騎士だ。

 というか、ひょっとして驚いているのは俺だけなんじゃないか?

 脇をひょいと見ると、レフシィも特に驚いた様子はない。

 ……。

 真面目に考えてみよう。

 殺戮者の関係者として考えられるのは、刑務所にいる殺戮者の中に関係者がいたとか、そんなもんだ。

 これは俺も驚いたことだが、殺人数が少ない殺戮者は刑務所に送られる。

 どの殺戮者も、見つかったその場で処刑されるということではないらしい。

 もっとも見つかったその場で処刑できる程度の殺戮者なら、そんなに脅威ではないのだが……

「元殺戮者に関係者がいたとかですか?」

「いや、そういうわけでは……」

 だが、すぐに俺が考えた説は否定された。

 となると、何で分かったんだ?

 まるで、見当がつかない……

「では、いったい……」

 騎士テイラーも全く分からないようだ。

「私も、知った時はびっくりしたんですがね……」

 それを見かねたのか、父親がニッコリして言った。

「実は、殺戮者の息子が見つかったんです」

 と言った。

 それを聞いた騎士テイラーは、面食らった顔をして固まった。

 息子だって!?

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