Story.16 父さんについて

「父のことをどう思っている?」

 これは、俺が初対面の人にする質問だ。

 誰でも1度は、考えたことがあるだろう。

 自分の父親について……

 ちなみに、俺はこう答える。

「凄く尊敬できる人だった」

 何故、過去形なのかというと、父親は既に死んでしまったからだ。

 その死に方は激しく儚かったが、父親が最も輝いていた時だったと思う。

 父親は、子供たちを守るために死んだ。

 しかも、見ず知らずの子供たちをだ。

 そんな人を尊敬しない訳にはいかない。

 そして、俺は父親の意志に共感した。

 これから生きる者達のために、自身の身を捧げる。

 俺もそんなことが思えるように生きたい。

 父親は、特殊だった。

 元々、他国の工作員で、見ず知らずの子供たちを守る道理などない立場だったはずだ。

 それなのに、死に際の父親は、そんなことを思える人間になっていた。

 きっかけは、母さんとの出会いだったらしい。

 詳しくは知らないが、きっとその時に何かあったのだろう。

 ともかく、父親は家族を大事にする人だった。

 死に際にも、その場に俺や弟がいないにも関わらず、俺たちのことを考えていてくれた。

 また、父親は俺に武器を残してくれた。

 警棒とサブマシンガンに分割できる、マシンガンだ。

 俺は今まで、ただ父親が遺してくれた武器としか思っていなかったが、これからは常に意識できる。

 父親が守ってくれていると……

 だから、俺はこれからも警察として、頑張って行ける。

 父親の形見のマシンガンと共に、俺はこれからも犯罪者と戦って行ける

 そういえば、弟にさっきの質問をしたら、

「子ども思いの立派な人だったよ」

 と言っていた。

 弟も、俺と同じ気持ちのようだ。

 父親は立派だった。

 そして、凄く強かった。

 俺は、いずれ父親のようになりたいと思う。

 父親のように、他人のことを本心から思い、救える人に……

 後に続く者達のために、この身を捧げられるように……

 俺は今日も警察として、人々を守っていこう。

 本心から人々のことを考えられる人間になろう。

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セダス・サーガ外伝 血塗れ悪鬼事件 斜志野九星 @74n09se1

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