村雨雅鬼

　図書委員の牟佐　詩織（むさ　しおり）の放課後はいつも手持無沙汰。 　それと言うのも図書室に本を借りに来る生徒がきわめて少ないから。 　そんな図書室のミューズのもとに訪れるのは……

吾輩は蛙である。名前はクソ長い。 古井戸に落ちた蛙がひょんなことから広き世界へと飛び出し、 様々な経験を経て千年生きる物語である。 永く生きた。 多くと別れた。 誰よりも多く…

芽吹き、花を咲かせ、そして散り種を落とす。終わることの無い生命の循環。誰も見ていない今この瞬間も行われている自明の行為。 そんな取り留めもない一人の少年のとある一日。 終わるこ…

　ホラーテイストのあるミステリーを書いたつもりですが、僕はミステリーというものがよくわかっていない輩です。ミステリーになっていなかったらすみません。 　また、台風にかんする不快な…

男子高校生が投稿している無料小説投稿サイトにコメントが書かれた通知が来るんだけど、見に行くと消えている話です。 （誰もやらないと思いますが、やらないでください。怖いから） （作…

甘くて苦い、ある一日の出来事だった。 俺の下駄箱から、上履きが無くなっていた。 「お困りのようだね……。黒崎少年」 困っていた俺の前に現れたのは、中学からの同級生で、よく暇を…

清水弘樹はあの世で、生きていた頃に犯した罪に関して裁判を受けていた。 しかし、エンマ大王の計らいにより、裁判の途中で弘樹専用の図書館に案内される。そこで魂の見届け人のマモと出会う…

最初はただの遊びと割り切っていたはずなのに、いつの間にか逃れられない、甘い夜の闇に囚われてしまった女性の愛の果てをテーマに書いてみました。

全てを失った男と何もない女。 そんな二人が出会い、二人は日記を通して何でもない、普通であれば当たり前の日常を描いていく。 交わることがなかったはずの二人。そんな二人の歯車が回り始…

※近況ノートを利用した表紙画↓ https://kakuyomu.jp/users/HiranakaNagon/news/16817330668345496938 　とある「お…

「どうせ死ぬなら異世界に行きませんか？」 人生に光の見えない生活の繰り返し。そんなK氏のもとに一通のメールが届く。 普段なら即ゴミ箱行きの迷惑メールのように思われたが、なぜかK氏…

※節分用のショートショートです。

身体を無くした人の心はどこに行くのだろう？ 消滅してしまうのだろうか？ そこにあった想いは、願いは、祈りは、 誰かの心の中にいる、その逝った人の想いは、 いつしか形となり………

その絵には幸せそうな姿の娘が描かれていた

ツノコンプレックス

犬好き高校生、犬飼剛が柴犬だらけの異世界に召喚されて柴犬をもふもふナデナデして救う！！（それ以上はない） 「しょうかん、成功したよ～」 「わーい、本物の人間さんだ～」 勢いで…

天外孤独になった俺の前に現れたのは、女子高生の姿になった我が家の柴犬・ロコ。 「――ひょっとして、私のこと忘れちゃった？　......まぁ、この姿だから分かるわけないよね....…

筋骨隆々のカンダタが垂れてきた蜘蛛の糸を引っ張って地獄へ釈迦を叩き落してバトルしたら面白くないですか？

生まれつき目の見えない少女――アイラは村の人たちから疎まれていた。 そんなある日、すれ違った男に絡まれ、危うく命を落としかねないところで、とある人物に助けられる。彼女は目が見えな…

大学入学を期にボードゲームで遊べるボードゲームカフェでアルバイトを始めた智也は、周りで自分だけ浮いているのを感じていた。 そこの専門性についていけないのだ。 店長や常連の女子大生…

「羅生門」という物語があります。 それは、平安の世の寂れた京都を舞台に、どろりと荒れる下人の心を巧緻に描いた人間絵巻。 その末に下人は墜ち、暗闇の中を去って行った。 あの後…

ゴールしません。そんな子の話を思い出す。 KAC202110　お題「ゴール」

ソロキャンプで黴だらけの石碑に触れた。 そんなことさえしなければ……

古くから生者と死者の交わるとされる【黄昏】。未練を残したまま死んだ人間は、この【黄昏】に流れ着き、その未練をかなえることができるとされている。ただし、とても歪な形で。 そんな【…

「怒り」が罪となる国で一人だけ怒りを湛える男は、それ以外の感情を表に出すことは許されない、それほどの罪を犯したという。 　その男に、ある青年が訊ねた。 「どんな怒り方をしたの…

リサイクルショップに行った大学生の俺たちはとある商品に出会う。 百円の冷蔵庫だ。 機種は新しめで、動作に問題もなく、汚れがあるわけでもない。 安さの理由を尋ねると中身が入っている…

別れられない二人の話です。

　親父が死んだ。有名人でも、企業の重役でもない、タダの田舎の、お調子者のくそオヤジ。ただ、親父には、家族でさえも知らなかった、「自分の幸せを切り売りする能力」があったのだ―― …

剣の天才である美少年キサラギ・ヒロ（15歳）は、弱きを助け強きを挫く——おとぎ話のような「英雄」に憧れていた。手始めに戦争で活躍するつもりだったが……夢追い人が急に敵を殺せるわけ…

　この世界の理「怪力乱神はこの世に相応しくない」「この世で起こった事は、この世ので治まらなければならない」 　つまり霊は人に害を与えてはならないし、人は霊を利用してはならない。…

シニタガリって知っていますか？ 死にたいと考える頭の中に発生する、謎の思考回路の事です。 自殺を考える者に寄りつく悪魔や霊、はたまた特有のウイルスや分泌物が原因と言われていま…

気づけばふと、手が伸びていた。 軽い気持ちだったのに。一つだけならと思っていたのに。 一度手に取ってしまえばもう、止まらない。 その後の訪れる幸福で頭が満たされ、胸が脈打つ。…

『美麗展開。恐ろしさを感じないホラーを目指した』 謎の作品内容ですが非常に恐ろしいエンディング！？ 酒は百薬の長であり「きちがい水」と呼ばれました。 あなたも知らぬ間に「未知…

5分で読めるホラー掌編です。

　私はかつてセプテントリオの妖精姫（ようせいひめ）、とあだ名されていたらしい。 　未来の王太子妃として厳しい教育と公務に耐えながら、貼り付けた笑顔で愛想を振りまいていた、遠い時代…

　わたくしはお飾りの妻、名ばかりの侯爵夫人でした。 　思いもかけない求婚のお申し出に、あの女嫌いの「氷の貴公子」エルネスト・タシトゥルヌ様のお心を射止めたのだと有頂天になったのは…

日課の読書をしていたら、スマホから告げられたのは莉緒が死ぬ日だった。 毎日のようにスマホから告げられるカウントダウンに最初は信じなかったけど、 どんどんと追い詰められていく。 そ…

リーインシュタット帝国とラー共和国との間におこった三十年戦争は両国の国力の疲弊によりなし崩し的に和平条約が結ばれ、十五年が過ぎた。 国境の街ガープでは両国の思惑と国力低下からくる…

大学受験に失敗し、不貞腐れている僕の部屋に飛びこんできたのは……両腕で抱けるサイズのミニチュア銀河だった。なんとタダの模型ではなく、それを破壊すると僕たちの住む地球まで同調して壊…

好きな人の連作です。 季節は秋。好きな人の季節の間に入るお話です。

雨の音のリズムが鼓動のように感じられるのは、傘の下が、ふたりだけの世界だからだと思います。 体温が、とても近いのです。 互いが生きていると実感できるほどに、呼吸による肺の収縮と皮…

自殺未遂を起こした私は、搬送された病院の一室で看護師の方から問診を受ける事になりました。そこで語ったのは、私を語る上では外せない、ある初恋の話です。

この世界には、九大災禍と呼ばれる呪いがあった。 命を吸い取る嵐である死門。死者を蘇らせ徘徊させる黄泉雲など、九つの呪いはそれぞれ独自の力を持ち、台風のように世界を周回し、人々に呪…

　ある日、人々に紋章が宿り、異能の力に目覚めた。 　自然の脅威そのものとなった者。 　偉人が成した伝説・偉業を体現する者。 　動物の野生を獲得した者。 　特定の概念を支配する者…

雨の日、僕に届いた過去からの手紙。

仲間を守るために怪物と心中した主人公が目覚めた先にいたのはアメコミヒーロー！？と勘違いしてしまう程のガチムチ元冒険者であった。 過酷なこの世界で生きるために鬼神ロリとガチムチに教…

長い間治らない病気。痼疾。 https://kakuyomu.jp/works/1177354054890860270

第1回こむら川小説大賞参加作品です よろしくお願いします