じとりと肌と心に纏わり付くような厭な心持ちが残る怪奇短編でした。解決どころか謎すらも曖昧模糊なままに、心の片隅に引っ掛かり続ける真夏の陽炎のような掴み所のなさが怪談然としていますね。子供の時に目にした神社の光景を改めて歳を重ねて目にして、その細部までもが思慮の範疇に収まってしまったことで思い至る恐怖という切り込み方も好みでした。
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