概要
庭に茂る常緑草『リュウノヒゲ』。その葉陰にある瑠璃色の実を叔父は「龍の卵」と呼び、決して触れるなと戒めていた。
叔父が遺した手帳に綴られた「あの孵化の瞬間の輝き」とは。
一族の男たちが背負い続ける美しい呪いに気づいたとき、穣は自ら破滅の淵へと足を踏み入れる――
植物と異形、情欲と滅びが交差する、静謐な幻想怪奇譚。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!人間は決して、触っちゃいけないよ
叔父の死によって、叔父が暮らしていた家を引き継ぐことになった穰。
そこで、実はこの家の離れで今も暮らしており、叔父の家政婦をしていたという女性・瑠璃と出会う。
もうしばらく、ここで暮らさせて欲しいという彼女の頼みを聞き入れ、引き続き家政婦として共に生活することを承諾する。
少しづつ募らせていく瑠璃への恋慕と、それと同時に膨らむ瑠璃という存在への疑念。
1話目の庭に茂るリュウノヒゲとその実が暗示するものは……。
「人間は決して、触っちゃいけないよ」
その叔父の言葉が、徐々に効いてくる。
怪しく怖ろしく、そして美しい。
現代を舞台にした作品でありながら、どこか古い時代の気配を作品全体…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静謐な狂気と、瑠璃色の迷宮。
本作は、一族の男たちが背負う「宿命」と、日常の足元に口を開けた「異界」の境界線を、端正な筆致で描いた幻想小説です。
物語の舞台は、数寄屋門を備えた古い日本家屋。独り暮らしの叔父の急逝により、その家を継いだ青年・穣は、かつて叔父が口にした「けっして触っちゃいけないよ」という不可解な戒めを思い出します。庭に茂る「リュウノヒゲ」の葉陰に隠れた、宝石のように美しい瑠璃色の実。その禁忌の言葉と、突如現れた謎めいた女性「瑠璃」の存在が重なり合う時、物語は静かに、しかし抗いようのない速度で変貌を遂げていきます。
特筆すべきは、五感を揺さぶる「質感」の描写です。立ち上る茶の湯気、清潔に磨かれた仏壇、そし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美しくも怪し気な物語、心を掴まれます!
穂積叔父さんが亡くなり、彼の家である古い日本家屋を継ぐことになった甥の穣。
ところが、離れの方に家政婦が住んでいた。
瑠璃という名の若い女性。
彼女は、次の仕事が見つかるまで離れに置いてくれと言う。穣は条件付きで承諾。
こうして、古い家の中での二人の生活が、幕を開けるのだが……。
リュウノヒゲという植物がつける美しい実。
その実のことを、「竜の卵だから、人間は触っちゃいけない」という叔父さんの怪し気な言葉から始まる本作。
その後も瑠璃という人物を通して、どこか怪し気な雰囲気を感じながら読み進めていきますと……とても美しく官能的な物語世界へと誘われていくことになりました。
移り行く季節の中…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それでも彼らは彼女と共に生きる
叔父から古い日本家屋を引き継いだ穣。そこにいたのは瑠璃という名の謎めいた家政婦。
この家の離れに住んでいたという彼女は、次の仕事が決まるまででいいからしばらく住まわせてくれと言う。
そこから始まった二人の共同生活。瑠璃はどこか人間離れしたような雰囲気を持っていて、穣も薄っすらとそれに気付いています。
けれど、彼女に惹かれてしまった穣はもう引き返せない。
瑠璃が何者なのか察していても、そしてその先に何があるのか予想がついていても、穣は瑠璃を求めてしまいます。
瑠璃との幸せな日々を送るための代償はあまりにも大きい。それでも穣は彼女を手放す気はないのでしょう。
幻想的な情景の美しさの中にほんの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!龍の卵には触れてはいけない
リュウノヒゲという植物をご存知だろうか。
細長い葉がこんもりと茂り、葉を掻き分けると根元近くに綺麗な瑠璃色の丸い実が付いている。ナンテンやセンリョウなどの赤い実はよく見かけるが、こんな真っ青な実は他に見たことがない。
叔父の家の庭にはリュウノヒゲが植えられていて、叔父には“龍の卵だから触れてはいけない”と言われていた。
急に亡くなった叔父の家を受け継いで住むことになった主人公のもとに現れた、叔父が雇っていたという家政婦の瑠璃は‥‥
瑠璃色の実をモチーフに描かれた幽玄で淫靡な物語。
きっとこの家に棲みついた龍の化身が、2800年にも渡って先祖代々の男たちを翻弄し、龍の子孫を残し続けてい…続きを読む