異世界転生ものに新たな風を吹き込む、筋肉愛にあふれた白熱の冒険小説。
主人公の恭弥は前世での死を経て、5歳の闇龍人族ファウスト・オルズ・レガリアとして目覚めます。彼が目を覚ましたのは「ガチムチアイランド」という、その名の通り筋肉隆々の住人が暮らす特異な島。筋肉に溢れた島民、筋肉質な樹木が立ち並ぶ「スマートフォレスト」、さらには「マッチョリス」など、島の至るところで「筋肉美」が称えられる世界観は、ユーモアを交えながらも愛情をこめて描かれています。
救い手となるベルゾレフもまた豪快に「HAHAHA!」と笑うアメコミヒーローのような筋骨隆々の体格の持ち主。魔導の師匠となるベル=ヴェルクは対照的に小柄な鬼族の少女の姿をした魔神。その可愛らしい外見と「大人なお姉さん」を自称する性格のギャップも魅力です。
物語は主人公が新たな世界に適応していく日常から始まり、ドラコスライムのプニや王鍵レガリアという不思議な存在との出会いを経て、次第に大きな運命へと巻き込まれていきます。魔神ラスカルトとの対決など、命懸けの戦いを経験しながらも、ファウストは持ち前の賢さと仲間たちの助けで困難を乗り越えていきます。
緻密に構築された魔法体系や世界設定だけでなく「不運」と表現される数々の試練を前向きに受け止め、成長していく主人公の姿には共感を覚えます。ファウストの成長と共には、仲間との絆の深まりが感じられます。
読みやすく軽快な文章、筋肉と魔法が融合した独特の世界観、魅力的なキャラクターたち、そして運命に立ち向かう主人公の姿に魅了される一作です。個性的な世界観と温かみのある人間関係が楽しい作品です。