死してなおこの世に未練を残す人間の成れの果てがうごめく『黄昏』、現世とあの世の狭間で彷徨える魂に、荷物を届けるのが『黄昏運送』の仕事。とはいえ、そうたくさん仕事があるはずもなく、暇を持て余し、自由奔放な後輩の大曲ななみに遊ばれている(?)主人公、千曲川あきおのもとに、依頼人が現れるところから物語は動き出します。
依頼人の真意、黄昏の実態、そして千曲川あきおと大曲ななみ、二人の抱えている過去。謎が明らかになるたびに、ページをスクロールする手が止められなくなります。もう少し読みたい、でも先が気になる……そんなジレンマを抱えながら読みすすめた先にあるラストとは……?
時間泥棒な運送会社の物語を見逃すな‼︎
おすすめターゲット:ティーンズ〜一般
ジャンル:ライトノベル、一般小説がお好きな方へ。特に不思議な世界を愛する人へ
大好きです。
千曲川くん、大曲さん。どこか曲がった名前の彼らはまったく「まっすぐ」でした。
死者への届け物をする、というお話です。
黄昏という生死の狭間で、死後に想いを残した誰かに、何ができるか?
そりゃあドラマが生まれないわけがない。
軽妙なセリフのやりとりで笑わされたかと思えば、深い愛情に涙する。
もっともっと評価が高くあって欲しい!
ちょっと拗ねた眼帯ちび(ごめん)男、なんも考えてない軽女、読み終わればまったく変わった印象を抱くはずです。
その運送会社にいる誰もがそこにいる理由があり、その行動を取る根拠があり、全ての登場人物が実在の人間のように動く。これは大変難しいことです。
それを書きこなす、極めて完成度の高い作品でした。
「死者へ何かを届ける」という設定はわりとよく見かけますが、独自の「黄昏」という生死の狭間の世界の設定が強い説得力を持っています。
醜いものを醜く、美しいものを美しく、不安と悲しみと優しさに揺れる人の心をそのまま伝えることがなんと難しいことか。
とても素晴らしい作品です。
作者さんの武器
目に浮かぶようなリアルな人間描写、世界設定、魅力的なキャラクターセンス、セリフの妙。
ただただ良いものを読ませていただき、ありがとうございました!!
死者に物を届ける運送会社に勤める主人公が配達する現代ファンタジー。
生と死というとても重たいテーマを黄昏という設定とテンポ良い文章で、とても読みやすくまとめてくれているライトノベルです。
主人公と後輩の掛け合いなど、登場人物同士の会話はクスッと笑わせてくれます。
かと思うとシリアスなシーンはとても怖く切ない展開で、読んでて引き込まれ、揺さぶられました。
生きているという日常と、決してたどり着けない死という非日常の対比が文面から伝わってくる作品。
読みやめどきがなく、一気に読むしかありませんでした。
オススメですので、ご一読ください。
読んだ方が黄昏から帰って来れますように祈ってます。
主人公は千曲川あきお。
悲しい過去を持った男性で、未練を持った死者に物を届ける運送業をしています。
テンション高めの後輩大曲ななみと一緒にある依頼をこなすことになりました。
無事、その依頼が終わると思ったら、あることが起きて……
主人公のあきおや後輩のななみには悲しい過去があります。
最初の段階では明らかになりませんが、読む進める中で、何かあるなと思わせる雰囲気があります。
伏線が上手いのです。
そして、最後は見事な大団円。
練りに練られたプロットがあってこその物語だと私は感じました。
素晴らしい作品です。
是非お読みください!!
眼帯をした主人公・千曲川あきおは「黄昏運送」に務めている。その会社は「死者に荷物を届ける」というなんとも胡散臭そうな運送会社。
あるとき、あきおは後輩・大曲ななみとともに、女子高生の依頼者・桂木芽衣子に頼まれた荷物を死者・大貫彩乃に届けに行った。けれど、荷物を見た大貫は豹変してしまい…?
めっちゃ面白かったです。最初は不思議な会社の説明が描かれたり、眼帯主人公とハイテンションヒロインの会話にクスッと笑えたり、ゆるりと展開していきます。
ところが、依頼人が現れてから、グッとアクセルを踏んだように物語が動き出し、のめり込んでいきました。
それぞれのキャラの感情に共感するところがたくさんあり、お気に入りの一文がきっと見つかります。
生者と死者、会話ができない両者をつなぐ黄昏運送。自分の想いが伝わらないってほんとに辛いことなんだなと、これを読んで改めて感じました。
千曲川や大曲の過去にも胸が締め付けられます。死者に荷物を届けるというファンタジックな作品なのに「実際にそういう会社がありそう」なところが、この物語に惹かれる理由の一つです。
魅力的なキャラクターたちの想いに心揺さぶられるはずです!ぜひ読んでみてください。
読後、息をついてしばらく放心した。
ライトノベルのような顔をした、素晴らしく純度の高い純文学がそこにあったから。
作者のバランス感覚は天才だ。
ギャグ要素を多分に含んだキャラクター文芸を装いながら、創作とは何かの核心に切り込んでくる。
「独創的すぎたら誰にも分かってもらえなくて、共感できすぎたら凡庸だって埋もれちゃう。芸術ってそもそも矛盾してると思うんだ」
あまりにも自然に散りばめられたメッセージたちに初読の私たちは気付けない。
でも読後の心に残るのは、作者が意図して配置したその一文の苦しいまでの切実さと鮮やかさなのだ。
この作品が意図して装う凡庸さ。
その中に潜む、素晴らしく難解で美しい独創性に、私は気付けているだろうか。
気付けているといい。
「込めた思いが届かないのが、一番寂しいんだよ」
その寂しさを、創作者の私は本当によく知っているはずだから。
タイトルに含まれる黄昏という名前から、どこか郷愁漂うハートフルなヒューマンドラマ……と想像した人は、半分当たっています。でもそんな生易しいものではない。断じて。
主人公——千曲川(ちくまがわ)が所属する『黄昏運送』という運送会社はただの運送会社ではない。死んでしまった人へと物を届けます。物だけではなく、送り主の思いまで。
死んでしまった人、というと幽霊のようなものを思い浮かべますが、実際は少し違います。その辺りは作中で詳しく説明されていますので、ここでは語りません。
この作品の見所は
【文章】、【ドラマ】、【構成】
です!
ざっくりとし過ぎじゃねえかぁああ!
それに当たり前のことじゃねえかああああ!
と思うかもしれませんが、良作、名作と言われるものは、この三点をしっかりと押さえており、ゆえに銘打たれるわけです。
ですがこのままだとあまりに適当過ぎるので、少し掘り下げましょう。
【文章】に関してですが、こちらは本当に『読ませる』文章です。ストレスゼロ。この字ってなんだったっけ? と辞書を引く必要もない。しかしそれでいて、安っぽくない。しっかりと練られた文章で、スッと頭に入り腹に落ちてきます。
なによりコメディタッチで一行一行が面白い! 従来のプロローグは説明も多く読者を退屈にさせがちですが、その説明(会社の説明でした)ですら面白い。どうなってんだこれほんとに。そう思っちゃうほどに。
【ドラマ】に関して。こちらは、コメディとシリアスの落差が凄いんです。しかし、それほど落差があるにもかかわらず、心は置いていかれない。ずっと作品とともにあるように感じます。
コメディパートではゲラゲラと笑わせてくれて、シリアスパートでは胸を熱くさせてくれる。涙をこらえながら読まねばならないでしょう。
【構成】に関して。序盤で張られた伏線が、次々に回収されていくのは、読んでいて気持ち良かったです。
また、通常の作品……これは小説に限らないのですが、ほとんどの物語が『主人公の経糸に緯糸が入ってくる』という構成です。しかしこの作品は、キャラがそれぞれ経糸を持っており、主人公の経糸に複雑に絡んで撚り合い一本の太い紐になるかのようなのです。
私は読み終わってからそれに気付いたので、読んでいる最中は完結を心配していました。残り5話くらいで「これほんとに完結するのか?」と心配になったくらいです。大丈夫。しっかりがっちり最高のエンディングが用意されていました。そしてすべてのキャラたちの物語がちゃんと結ばれておりました。
単純に読み手としても、書き手としても「読んでよかった!」と思える作品でした。
いろいろ小難しいことを言いましたが、めっちゃ感動するんでマジで読んでください!
とにかく読んでみてください! 痺れます!
以下応援コメントに書いた感想貼っときます。
「黄昏」をテーマにしていますね。これは中々他と被らない設定じゃないですかね? ジ◯リのような独特な雰囲気が醸し出されてます。
主人公のバックグラウンドがしっかり作られています。眼帯をつけている理由がなるほどー! と納得いく感じでした!
ヒロイン(?)も中々いいですね。ただのバカじゃないというか、なにか隠し持っていることがありそうな感じが所々見え隠れしていてワクワクしてきますね。
伏線回収や情報の出し方もちょうどいいタイミングです。
このカクヨムの大海に沈んでいくにはもったいない傑作ですよ!