カクヨム甲子園2022大賞受賞者インタビュー 三嶋悠希さん(ショートストーリー部門『初デート前レター』)

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高校生限定の小説コンテスト「カクヨム甲子園2023」の詳細を発表しました。作品の応募受付は7月14日から開始します。

開幕に先立ち、今から作品の内容を考えている方、これから応募を検討したい方など、参加を予定している皆様へ向けた「歴代受賞者のインタビュー」をお届けします。

今回は、昨年のカクヨム甲子園2022《ショートストーリー部門》で大賞を受賞した三嶋悠希さんにお話を伺いました。

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先輩受賞者の作品が応募のきっかけ

――改めて大賞受賞おめでとうございます。カクヨム甲子園に応募しようと思った理由を教えてください。

三嶋:2022年の夏、自分の物語を小説のコンテストに応募してみたいと思い立ち、インターネットで検索をしました。そして、カクヨム甲子園に出会えました。
 まず、どのような作品が受賞されているのか気になったため、2021年度の受賞作を読みました。その中で最も強く惹かれたのが、ここのえ栞さんが書かれた『さよなら花緑青』です。主人公の内に秘める揺らぎが、幻のように美しい比喩を使って鮮やかに描写されています。これほどまでに心奪われる短編小説に出会ったのは初めてでした。
 ここのえ栞さんと同じ舞台に立ちたいという想いで、カクヨム甲子園への挑戦を決意しました。

――小説はいつごろから、どのようなきっかけではじめられましたか?

三嶋:高校2年生だったと思います。当時の僕は、ホラー小説を読むことに熱中していました。角川ホラー文庫を買い漁り、多くのホラー小説に出会いました。実家の本棚は真っ黒です。そうしてホラー小説を読み続ける内に、自分で小説を書いてみたくなったのがきっかけです。

――好きな作品とその理由を教えてください。

三嶋:せっかくですので、カクヨム甲子園の受賞作から挙げたいと思います。カクヨム甲子園の受賞作には、好きな作品が本当に沢山あって挙げればきりがないので、三作に絞ります。2018年度より『雨と無知』、2019年度より『通りすがりのタビさん』、2022年度より『文房具コーナーから始まる文通』です。どの作品も、柔らかくほっこりとした読後感が好きです。

――受賞品の図書カードで購入した本があれば教えてください。

三嶋:先ほどのホラー文庫のつながりになりますが、江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』、小林泰三の『人獣細工』、貴志祐介の『天使の囀り』などを購入しました。

――カクヨム甲子園で大賞をとられたこと以外に、参加してよかったと思うことはありますか?

三嶋カクヨム甲子園に参加した皆様と作家仲間になれたことです。2021年度の先輩方も、2022年度の同年代の作家様も、2018年度の大先輩まで、沢山の方々と仲良くなることが出来ました。さらに、自分の物語に自信を持てるようになり、小説がもっと大好きになりました。代わり映えの無い毎日が、カクヨム甲子園を機に、楽しくなりました。カクヨム甲子園が大好きです。

記念品の表彰盾(制作:キンコーズ・ジャパン株式会社様)

見せ方を意識し、読者の期待を裏切れた

――受賞作の『初デート前レター』は非常にキレがある短編で、選考過程でも話題でした。このようなホラーを書こうと思ったきっかけを教えてください。

三嶋:主人公が一方的に語り続けるホラーを書きたいと思ったのがきっかけです。ここのえ栞さんの『さよなら花緑青』を読み終えたとき「この小説には登場人物同士の会話表現が一切無い」と気づいたことも、影響していたと思います。

――受賞作の執筆はどのような方法で、また、どのくらいの時間をかけてされましたか?

三嶋クライマックスの場面を先に思いついたので、オチから逆算するように執筆しました。その際、思いついたストーリーを、スマートフォンのメモ帳に軽く下書きしてから書き始めました。数時間かけて完成しました。

――受賞作はどのようなところにこだわって執筆されましたか?

三嶋:主人公が使う敬語を怪しい口調にして、徐々に不穏な気配が漂うように、出来る限りの伏線を張りました。しかし、最もこだわったのは、作品の内容ではありません。作品に設定しなくてはならない「ジャンル」です。ジャンルをホラーにしてしまうと、読者はどんな怖さなのだろうと身構えて読み始めます。その結果、オチを予想されてしまう可能性に気づき、非常に悩みました。悩んだ末、ストーリーの内容は恋愛に絡んでいたので、ジャンルを敢えて恋愛に設定しました。これが功を奏し、タイトルの響きも相まって読者の予想を覆せたのが、受賞に関わっていると思います。

――カクヨム甲子園2022に応募された作品で最も思い入れのあった作品を教えてください。

三嶋『かじちゃん』という童話を応募しました。個人的には『初デート前レター』よりもこちらが本命でした。タイトルの通り、かじちゃんというリスが登場するのですが、推敲を重ねたのもあり、かじちゃんが大好きです。

――小説投稿は今後も続けていく予定ですか? その際にはどのような作品を書きたいと思っていますか?

三嶋:今後も小説投稿を続けていきます。長めの小説を書くことが苦手なので、ホラーに限らず、まずは1万字程度の物語を書くことを目標にします。一方的に語らせる話を書いた僕が言っては何ですが、登場人物の魅力は会話に表れると思っていますので、読者を夢中にさせるテンポのいい会話を展開したいです。その際『初デート前レター』を超える小説を書けるよう、努力します。

――最後に、カクヨム甲子園2023に挑戦する高校生にメッセージをお願いいたします。

三嶋執筆時間の長さだけ推敲してください。というのは、僕が小説を書き始めた頃から憧れている、ある師匠のお言葉です。僕は創作に詳しくないので、自分の口から的確なアドバイスが出来ません。そんな僕でも、夜ご飯を食べずに、締め切りのギリギリまで推敲を続けました。初心者の僕には、それしか出来ることが無かったのです。しかし、推敲を重ねれば、必ず作品の質は上がります。
 2023年は、さらに面白い作品が沢山集まるでしょう。僕はカクヨム甲子園が大好きなので、今年の応募作も、時間の許す限り読んでいくつもりです。どんな物語が待っているのか、楽しみで仕方ありません。応援しています。頑張ってください。

三嶋悠希さん、ありがとうございました!

▼カクヨム甲子園2022のロングストーリー部門大賞受賞者、しがないさんのインタビューはこちら

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「カクヨム甲子園2023」の応募受付は、 7月14日17:00から開始します。 皆さまのご応募、お待ちしております! またぜひこちらのキャンペーンより、参加表明、応援コメントをお願いいたします!

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