【カクヨム文芸部】公式レビュワー座談会

■カクヨム文芸部、たちあげます!
――のっけから唐突で恐縮ですが、このたび、カクヨム文芸部をたちあげます!!!

つきましては、カクヨムの投稿作品にあまねく目を通し、毎週金曜日に更新される特集ページにて、さまざまな角度から愛のあふれる運営公式レビューを寄稿してくださっているお三方に、いろいろアドバイスをいただければと思い、今日はお集まりいただきました。
 まずは簡単に、自己紹介からお願いできますか?

愛咲:カクヨムとは立ち上げ当初から関わって、レビュー担当は、かれこれ3年くらいやってます。専門はライトノベルで、20年くらい読んでますね。

柿崎:僕も、レビューをローンチ時から担当していて、なんか面白い作品ないかな、といつもウォッチしています。普段はSF、ミステリー、ホラージャンルを主に読んでいます。

髙橋:私の得意ジャンルは、歴史もの。女性ユーザーさんが描く人情料理時代小説とか、いい作品が多い印象です。レビューするのは基本的に★がついていない作品、と限定しています。あと、エッセイ・ノンフィクションも必ず見てますね。実はこのジャンル、カクヨムの中でもけっこう掘り出しものが多い穴場なんですよ。みなさん自分語りと銘打って、実体験に基づいたお話を書かれているので、すごくリアリティがあって、刺さる作品が多いんです。

愛咲:確かに、カクヨムは、まだまだ新規ジャンル開拓の余地がありそうですね。ユーザーも、商業デビュー志向の強いかたが多く集まって、切磋琢磨している印象です。自主企画も盛んですしね。

柿崎コミュニティとしての広がりを感じさせるサイトですよね。

髙橋:ユーザー同士の横の繋がりが強いからこそ、そのつきあいがないせいで作品や読者にめぐりあえないのは、お互いにもったいない。★がついていなくても面白い作品はたくさんありますし、私が★ゼロ作品のレビューにこだわりだした理由も、そこですね。せっかく作品を書いても、何の反応もつかないと、やっぱりさみしいじゃないですか。だから、そういう埋もれた良作に少しでも光をあてたい、という思いで毎回レビューを書いています。

■タイトル・あらすじにキャッチーさを!
愛咲:カクヨムは、コンテストの受け入れ余地が高いのも印象的です。第1回カクヨムWeb小説コンテストの大賞受賞作は『横浜駅SF』ですが、特別賞は徳パンク仏像SF『黄昏のブッシャリオン』ですよ!? こんな突飛なSFでデビューもアリなのか!とその懐の深さには驚きましたね。

高橋:「そんなのあるんだ」と思わせられるかどうか、話題性は大事ですよね。SNSの発達で、昔とは見出しの立て方が違っている。ただ小説が面白いだけではダメで、自分の発信するものが他人の興味をひけるか、というブランディングの技術も重要になってきています。

柿崎:去年、カクヨムに発表された芦花公園さんの『ほねがらみ』がTwitterでバズって話題になりましたけど、あれもすごく発信が上手でしたね。いま、カクヨムのなかで、一般文芸の作者と読者の土壌がいちばんととのっているジャンルは、ホラーなのかもしれません。

髙橋:黙っていても小説を読んでくれる人はいいけど、そうではない人を巻き込むためには、バズとか別の要素が必要になってきますよね。

愛咲:確かに、レビュー作品を選ぶときにも、タイトルとかあらすじでピンとくるキャッチーさがあるかどうかが重要なポイントになりますね。他とは違うパワーワードや、目につく要素がほしい。言い換えれば、今の時代の空気や、ユーザーの気になる要素があるかどうか。
 今月は公式自主企画の「音楽をテーマにした小説」のレビュー担当をつとめたのですが、高校生のブラスバンドとか、ボーイミーツガール的な青春小説、売れないピアニスト、バンドマン、そういった王道作品は多いです。ただ、それだけだとどうしてもありふれて埋もれてしまう。そこになにか一つでも、ユーザーの好奇心をそそる要素がプラスオンできるかどうか。なんとなく知っているようで実は深くは知らない、そういう題材を選ぶと目を引きますね。

柿崎タイトルとキャッチフレーズが個性的な作品は、中身も面白いことが多いんです。それは間違いなく小説を書く才能にもつながっている。じゃあ、きちんとそこに力を入れて書いたらいいよ、といって、誰もがうまくできるかというと、そうもいかない。書き手のシンプルなセンスが一番出やすいんじゃないでしょうか。

高橋:淡々としたあらすじだけど、それがかえって面白い、ということもありますよね。あらすじが果たす役割はだいぶ大きいなあ。

愛咲:タイトルとキャッチフレーズがうまいということは、自分の作品のテーマやコンセプト、作品の強み、差別化できる点を自分で理解して、それを伝えられるということですよね。読者が今、何に興味をもっているのか、という空気感や時代性を取り入れられているかも重要です。
 たとえば、その存在は知っているものの、詳しくは知らない、というジャンル。日本古来の伝統文化とか工芸品みたいな素材は、ひとつアリな気がしますね。『りゅうおうのおしごと』は一昨年、このライトノベルがすごいで1位をとった作品です。将棋のことはなんとなく知っているけどプロの世界は案外知らないじゃないですか。そういう意味で、ユーザーの好奇心を煽りつつ、知識欲も満たした作品になっている。『ドラゴン桜』だって、苦手なものを克服していく逆転の物語、という背骨は通しつつ、ハウツーものの要素もあって。視聴者は受験生だけではなく親世代も多く、東大に受かるためのメソッドが資格勉強にも転用できるビジネス書的なアプローチになっていることも見逃せません。

■双方向コミュニケーションの場に
高橋:いかに広く読んでもらうか、という点でいうと、長い作品をいっぺんにあげてしまうと読んでもらいづらい傾向はありますね。実はそれがネックで★をつけてもらえていない作品もけっこうあるんです。WEBの投稿サイトという性質上、検索してもらうために、毎日こまかく投稿する人が多い。でもあまり長尺になると離脱されてしまう。だからそうなる前にきちんと完結させようという向きはあるかもしれません。逐一読者の反応がかえってくるので、それにこたえていくうちに、書き始めた当初イメージしていたものとは違う結末になるということもあるでしょう。

柿崎:読者の反応という意味ではこのライトノベルがすごいで1位をとった「異修羅」は、新しいエピソードが更新されるたびに読者がSNS上で感想を言い合って盛り上がっているのが印象的でした。
 それとカクヨムではレビューとは別に各話ごとに応援コメントが書きこめる仕様になってるのですが、読んで楽しいと思った作品には気軽に一言残していくのも良いかもしれません。ポジティブな感想をもらうことは多くの作者にとってより励みになるはずなので。

髙橋:作品に対して反応が欲しいと思うのは書き手の本能ですから、そこを目指して、皆さん日々頑張っていらっしゃる。だから、今回の文芸部たちあげは、書き手ユーザーさんにとっても、刺激になると思いますよ。こんな作品を読みたい、こんな才能を待っている、という運営からのメッセージングやアプローチって大事
 カクヨムは、せっかくKADOKAWAという版元が運営しているサイトなんだし、利用者は新着情報やお気に入りのチェックのために、一日に何度もサイトを訪問しています。そういうロイヤリティの高いユーザーにきちんとアピールできるのはカクヨムの強み。そこを活用して、能力のある編集者が、作品だけでなく自分自身も商品として押し出していくのはすごくいいことだと思います。たとえばですけど、月1回30分、編集者が登場して、作品にコメントをつけてくれる、というだけでもユーザーにとっては大きい。そのくらい本気の取り組みなんだということも伝わりますし、現役の編集者とコンタクトできる、そんなチャンスはまたとないので、プロを目指そうという作家志望者なら必ず来る。

――ありがとうございます。なんだかすごく勇気がわいてきました!部活のような賑わいで、皆さんと楽しく活動していけたらと思っています。
 では早速ですが、初回のテーマを発表させていただきます。その名も
 

「ご当地小説大募集」!

 さきほどお話に挙がったホラーも伝統芸能も大歓迎。グルメ、鉄道、お祭り、風習・・・。いつも目をあげればそこにある何気ない景色だって、切りとりかた次第で、きっとすばらしい小説になります。コロナ禍で自由な移動もままならない昨今だからこそ、皆様の作品を通して、まだ見ぬ風景と出会えることを、運営一同、楽しみにしています。入部希望者大募集中ですので、どうか、皆様ふるってご投稿ください!

自主企画の概要

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《自主企画への参加はこちら》
[URL]
https://kakuyomu.jp/user_events/16816700426217788874


選ばれた4作には、特集ページに公式のレビューが掲載されるほか、Amazonギフト券5000円分をプレゼントします!

作品投稿、作品へのおすすめレビュー応援コメントなどお待ちしております。

● 応募期間
・作品応募期間:2021年7月26日(月)~8月22日(日)23:59

● 応募要項
・文字数に制限はありません。ただし選考は1~2万字を目途に行います。
・今回は紀行やエッセイではなく、物語を募集します。
・2021年7月26日以降に更新された作品を対象にします。
・自ら創作したオリジナル作品のみ応募可能です。
・応募作品の内容は、日本語で記述されたものに限らせていただきます。
・お一人で二作品以上の応募も受け付けます。
・カクヨムで開催中、応募受付中の賞・コンテストにエントリーしている作品は対象外となります。

● 応募方法
1.応募作品を、「カクヨム」の投稿画面より登録します。
※はじめてご投稿される方へ詳しい書き方はこちら
2.小説投稿ページにある自主企画欄で「【カクヨム文芸部、たちあげます!】公式自主企画『ご当地小説大募集!』」を選択してください。
※応募の時点で、応募者は本応募要項の全てに同意したものとみなされます。

● 選考方法
・カクヨム編集部及びカクヨム公式レビュワーが選出します。また、カクヨム運営と文芸編集者も作品を読ませていただき、星やレビューを付けさせていただく場合がございます。

● 特集への掲載について
・応募作品の中から4作品ほどを選出し、カクヨムの、特集ページに掲載します。
・掲載された作品には、公式レビュワーがレビューをさせていただきます。
・掲載された作品の作者にはAmazonギフト券5000円分を差し上げます。
※掲載者には9月中に運営よりご連絡し、賞品をお送りいたします。確実にメールを受信するために、携帯電話でのみ受信可能なメールアドレスを避け、パソコン等でも受信できるメールアドレスを設定していただくことをおすすめいたします。

● 注意事項
・応募受付期間の終了後に作品の修正・更新を行う場合は、作品を公開した状態で行ってください。応募受付期間終了後であっても、応募作品を非公開にすると、当該作品は選考対象外となる場合があります。
・一度投稿された作品の取消・削除を行うと、当該作品は選考対象外となります。
・選考に関するお問い合わせには一切応じられません。また、選評の予定はありません。

● その他
・本応募要項に記載していない事項については、カクヨム小説投稿ガイドラインに準拠いたします。



以上、皆さまのご参加をお待ちしております!

《自主企画への参加はこちら》

kakuyomu.jp