2019年10月分のアドスコアをロイヤルティプログラム参加者に付与しました

10月29日~10月31日の3日間でカクヨムロイヤルティプログラムへ参加された皆様を対象に、10月分のアドスコアを付与いたしました。

獲得されたアドスコアの数量は、ワークスペース画面トップにある「今月のカクヨムリワード」の項目にてご確認いただけます。

アドスコアについて

アドスコアは、プログラム参加作品がどれだけ一般読者に支持されたかを数値化したものとなります。作品のPV数や文字数など、複数の要素をもとに集計した数値を計算してスコアへと反映しています。

獲得したアドスコアは、11月下旬頃より、ワークスペース画面にて一日単位で確認できるようになる予定です。

アドスコアとカクヨムリワードの関係

カクヨムリワードは、ユーザーがカクヨムで活動することによって獲得する、現金化可能な報酬です。一方、カクヨムの広告売上全体をもとに、各ユーザーへのカクヨムリワードの分配額を計算するための基準となるのがアドスコアです。

アドスコアはそのまま報酬へと変換されるわけではありません。そのため、1スコア=1リワードというレートにはなりませんのでご注意ください。
なお現時点でのスコアからカクヨムリワードへの変換レートですが、おおよそ18~20スコアにつき1リワード程度となる見込みです。(※広告収入額により更に上下変動する可能性があります)


アドスコア付与後の流れとしては、これからカクヨム全体で得た10月分の広告売上を確定します。そこから各ユーザーへの報酬配分をアドスコアをもとに計算して分配いたします。
10月分のカクヨムリワードが付与されるのは、12月中旬を予定しています。

今後ともカクヨムロイヤルティプログラムをよろしくお願いいたします。

◆関連項目:
kakuyomu.jp

【カクヨム小説創作オンライン講座2019】カクヨムコン歴代応募作品講評会 第1回

11月末より開催する第5回カクヨムWeb小説コンテスト応募者に向けて、創作にまつわる様々なヒントやアドバイスを提供し、スキルアップに役立ててもらう「カクヨム小説創作オンライン講座2019」
今年も、その第1弾「カクヨムコン歴代応募作品講評会」を開催します。
今回の掲載作品は計30作品 11/11~11/17の7日間でお届けします。


カクヨムコン歴代応募作品講評会とは?


過去にカクヨムWeb小説コンテストに応募した作品を対象としたカクヨム運営によるオンラインの作品講評会です。
講評対象に選ばれた作品は、キャラクターやストーリーなど、作品を構成する5つの要素を5段階で評価して作品分析を行うとともに、長所や改善すべき点をコメントにまとめて指摘します。

今回の企画では、プロの目を通してしっかりと評価された講評が、カクヨムブログ上で公開されます。そのため、講評される作品は、だれでも閲覧して参考にすることができます

講評作品に選ばれた方は、プロが精読して判断したご自身の作品の良かった点や改善すべき点について知ることができ、今後執筆する際の指針として活かすことができます。
また、応募しなかった方や講評対象から漏れた方も、他の作品に向けられたアドバイスを読んで、自身の作品にあてはまるポイントを見つけることができます。

第1回 掲載作品

【SF】週刊カノジョイド!創刊! 作者 ながやん
【キャラクター文芸】書道とは死ぬことと見つけたり(仮) 作者 タカテン
【異世界ファンタジー】薄給激務の宮廷魔術師 作者 @yu__ss
【ラブコメ】勇者様が帰らない 作者 南木
【ホラー】やがて来る僕らの終わり 作者 髭鯨


【エントリーNo.1 SF
創刊号はバインダー付き!
週刊カノジョイド!創刊! 作者 ながやん
あらすじ:
 週刊カノジョイド!創刊!毎号届くエロカワなパーツ!人間と全く遜色ない、それでいて理想の体型&性格の美少女が君の手に!最新の生体パーツをふんだんに盛り込んだ、豪華仕様!今なら創刊号が、特製バインダー付きで送料無料!さあ、彼女を造ろう!

◆点数評価:
・オリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
生首の女の子という実にユニークなヒロインで、とにかくウザく騒がしいキャラクターに笑いを堪えられませんでした。主人公の元に次々と騒動が舞い込み、読者の意表をついて物語が二転三転するジャットコースター展開が飽きさせず、先を読ませてしまう勢いがありました。世界を救うために初恋の相手を戦うというシチュエーションもスケール感が壮大で、シリアスな戦闘シーンにもユーモアを差し込むことで空気が重くなりすぎず、ライトな読感が読みやすかったです。

◆改善すると良くなりそうな点:
特別指摘する点はありませんが、しいて挙げるとすれば登場人物が未来人や超能力者やアンドロイドだったりするので、静流と真璃がキャラで負けないようにキャラ属性を盛ってもいいでしょう。例えば大企業のお嬢様だったり、天才発明家や天才ハッカーだったり、権力や技術力などの力で羽継を巡ってライバルと対立させてもよりドタバタ感を盛り上げられると思います。メカだけでなく未来感のある道具なども登場させるとまた夢があって面白いのではないでしょうか。


【エントリーNo.2 キャラクター文芸
書道で死ね
書道とは死ぬことと見つけたり(仮) 作者 タカテン
あらすじ:
 花川毅山は若き天才書道家である。
 が、大日本書道展にて前代未聞の無様を晒してしまう。かくなるうえは切腹してお詫びをと覚悟を決める毅山に、父であり師でもある花川範村は言い放つ。

「書道とは死ぬことと見つけたり! この父の言葉の意味を探す旅に出よ!」
「分かった! ちょっと死んでくる!」

 かくして父の言葉をまともに理解しようとしない毅山の、死に場所を求めて全国を旅する奇妙な人生が始まった!

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
冒頭部からきっちりとネタを押し出し、これはこういう物語です! と押し出せているのは高評価です。ネタとは往々にして屁理屈と同義なものですが、それを力と技で押し通せるのはまさに才能。ぜひ、今後もたゆまず磨き続けてください。
キャラクターもキレと思いきりがよくて、気がつけば好きにさせられていました。キャラは物語を加速するブースターですから、こうした「よさ」を意識してのキャラ作りを貫いていただきたく思います。

◆改善すると良くなりそうな点:
物語の起伏が小さく、最初のエピソードと同じ様相が繰り返されることとなっている、つまり出オチ感が強くなってしまっていることは課題点ですね。大元のネタの強さあっての副作用ではあるのですが、全体的に単調です。
主人公が別観点からなにか重要な気づきを得る等、エピソードの切り口の角度を変える工夫がこらされていると、本筋もさらに際立ちます。


【エントリーNo.3  異世界ファンタジー
仕事辞めたい系主人公の自由な雰囲気でアットホームな社会人百合です。
薄給激務の宮廷魔術師 作者 @yu__ss
あらすじ:
軍に所属し研究や国防に努める魔術師、通称『宮廷魔術師』。国中の魔術師たちが憧れる、国家最高の魔術師集団。
主人公リザはその宮廷魔術師の中でも「若き国家の至宝」と呼ばれる。二十五歳の若さにして大公から授かった十二の褒賞は、二百五十二年の歴史の中でも歴代最多の叙勲数を誇る。
そんな彼女の今月の手取り、二万三千円(日本円換算)。
今週の主な仕事、ネズミ駆除。
住んでいたアパートメントからも追い出され、後輩フィオの家に居候することが決定。
「こんな鼠退治ばかりやらされるのが、私の憧れていた宮廷魔術師だったのか……」
憧れと現実のギャップに、本気で転職を考える日々。
そんなおりに出会った一人の身寄りのない幼い少女。その少女には、なにやら秘密がありそうで……。
リザとフィオ、そして謎の少女。三人の家族ごっこのような、奇妙で暖かな日常が幕を開ける。

◆点数評価:
・オリジナリティ:
・キャラクター:
・ストーリー:
・世界観:
・文章力:

◆良かった点:
異世界ファンタジーでの同性愛ものというテーマに加えて働く女性ものとして、優秀だけれど環境に恵まれないリザの境遇が現代のOLの姿に重なって共感してしまいました。リザとフィオとシロの三人の家族のようなアットホーム感が和みました。小さな女の子にも嫉妬してしまうような愛の重いフィオの面倒くさいところと、それもわかった上で許して受け入れるリザの姿に、二人が長年に育んだ絆が伝わってきて感動しました。

◆改善すると良くなりそうな点:
リザの実績と待遇との乖離が激しすぎて疑問がわきました。優秀な研究者になぜ雑用のような肉体労働をさせるのか設定上の不自然さが気になりました。同性愛はよいのですが、結ばれるまでの展開が駆け足気味です。
元々男性に興味がなかったり、可愛いものが好きだったり、同性愛に惹かれる傾向をリザに持たせてみたり、世界観的にも同性愛を受け入れるような社会であると描いておくようにすれば読者の理解も得られやすくなると思います。


【エントリーNo.4  ラブコメ
何事もない日常が、やっぱり一番心地いいの
勇者様が帰らない 作者 南木
あらすじ:
 あれから何日たっただろうか?
 勇者様はまだ彼の家に居座っている。

 魔神王が勇者とその仲間に討伐されてから2年――――
 当時勇者パーティーの後方支援担当だった青年アーシェラの家に、勇者リーズが突然訪問してきた。事前の連絡もなしの来訪だったので、豪華な食事も心地よい寝台も用意できなかった。
 なのにリーズは…………今日も彼の家から帰らない。

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:4
・キャラクター:4
・ストーリー:3
・世界観:4
・文章力:4

◆良かった点:
まず文句なしにキャラクターがいいです。勇者のリーズは大変可愛いですし、辺境の地で村長をしているシェラのしっかり者っぷりも良い。二人のイチャイチャっぷりだけでも充分楽しいですのが、二人以外の村人もしっかり個性豊かに書けており、この村で演じられるスローライフな日常にずっと浸っていたい気分になりました。また自分ではたいしたことをしてないと言いつつ、実はパーティーメンバーの心情をしっかり把握しているシェラの後半での活躍も素敵です!

◆改善すると良くなりそうな点:
WEBでずっと読み続ける分には今の構成でも構わないのですが、書籍化を前提とした賞で受賞を目指すのであれば、ストーリーにもうちょっとメリハリをつけた方がより良くなると思います。
本作の場合後半で一気に物語が動きますので、物語の早い段階から村での日常を描く一方で、リーズがいなくなったことによる王都の異変や、それに伴う王族や貴族の不穏な動き、また勇者であるリーズをこんな辺境に留めておいて良いのかというシェラの葛藤などを今以上にクローズアップしても良いのではないでしょうか? そうすると作品に緊迫感が出ると同時に、スイカに塩をかけるように作品の糖度もより増していくと思われます。
またリシャールが登場した瞬間からあまりにも小物っぽすぎることもあって、後半の展開が予定調和的に進みすぎているように感じられました。こういうわかりやすい展開の方が好きという読者もいますので必ずしもマイナスになるとは限りませんが、参考までに。


【エントリーNo.5  ホラー
いつだって終わりは残酷だ
やがて来る僕らの終わり 作者 髭鯨
あらすじ:
また、この夢だ……。
高校一年生・緑川優也を悩ませるのは首なしの少女の悪夢。やがて昼夜問わずその少女が幻覚として現れ始め、同時に彼の周りで次々と頭部を失った死体が発見されていく。

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※この作品には過激な表現が含まれていますが、法律・倫理に反する行為の容認や助長を意図するものではありません。

◆点数評価:
・作品のオリジナリティ:3
・キャラクター:2
・ストーリー:4
・世界観:3
・文章力:4

◆良かった点:
ホラーを書く上で必要な不気味なイメージがしっかりできていて、それを雰囲気たっぷりに描写することができています。また、ただ描写が怖いだけではなく不穏な過去を匂わせて、読者の興味を惹きながら話を進めることに成功している点や、後半にかけて加速度的に怪異の規模を大きくすることで、最後まで読者を物語世界に引きずり込む点など、どうすれば読者の心を掴めるかという点を意識しながら書いているように感じられました。

◆改善すると良くなりそうな点:
アヤコノノロイと小稲瀬町で起きた惨劇の真実、この二つの謎が本作を牽引しているのですが、この二つの謎の繋げかたがやや強引なように感じられました。もうちょっと自然な感じで関連付けられたり、別々の場所で起きた二つの事件を結ぶミッシングピースのようなものがあるとより良くなったと思われます。
また前半で死ぬ人物が優也と親しくない人ばかりで、死にざまもあっさりしているためやや淡白に感じられたのはもったいないかと。
もうちょっと死に際の描写を悲惨かつ丁寧にしたり、あるいは優也と仲の良い人を犠牲者にすることで、物語により強い切迫感を与えられます。


第2回は11月12日更新予定です。

『アニメ新世紀宣言』体験談コンテスト 最終選考結果を発表しました

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『アニメ新世紀宣言』体験談コンテストの最終選考結果を発表いたしました。

選考委員であるアニメック編集部が厳正に審査し、中間選考通過作品の中から受賞作を選出いたしました。

選出作品はこちらからご確認いただけます。

また、選出作品は11月9日(土)発売の「アニメック ガンダム40周年記念号」に掲載されています。こちらもあわせてご覧ください。

アニメック ガンダム40周年記念号

伝説のアニメ誌「アニメック」、奇跡の復刊!
あの伝説のアニメ誌「アニメック」が、「ガンダム」40周年イヤーにまさかの大復活! 当時の執筆陣・関係者のインタビューも満載、オールドファン感涙の一冊!!

ご参加いただいた皆様には、改めて深く感謝申し上げます。

第4回カクヨムWeb小説コンテスト大賞受賞者インタビュー|キタハラ【キャラクター文芸部門】

賞金総額600万円、受賞者はKADOKAWAからの作家デビューを確約する第5回カクヨムWeb小説コンテストを、今年も11月29日(金)より開催します。

そこで、かつて皆様と同じようにコンテストへ応募し、そして見事書籍化への道を歩んだ前回カクヨムコン大賞受賞者にインタビューを行いました。創作のルーツや作品を作る上での創意工夫、そして受賞後の変化などを語っていただいた受賞者の言葉をヒントに、小説執筆や作品発表についての理解を深めていただけますと幸いです。



第4回カクヨムWeb小説コンテスト キャラクター文芸部門大賞
キタハラ
▼受賞作:熊本くんの本棚
kakuyomu.jp

──小説を書き始めたきっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。

小さい頃からずっと、本を読んできました。はじめて買った文庫は宗田理さんです。それから田中芳樹さんの『アルスラーン戦記』竹河聖さんの『風の大陸』など、ファンタジー小説を読み漁りました。

中学の教科書で読んだ山川方夫の「夏の葬列」が印象的で、それからは文芸作品を読みだします。「夏の100冊」に選ばれる「名作」とされているものを手にとって、面白かったらその作家の作品を続けて読む。
現代作家だと吉本ばななさん村上龍さん山田詠美さん江國香織さん吉田修一さんの作品をとくに読みこみました。古典や新作、国内海外純文エンタメ関係なく、面白そうなものはなんでも読んできました。

一番影響を受けたのは立原正秋です。全集を揃えるほどのめりこみました。
佐藤泰志の文体に憧れて、真似たりもしました。効果は……自分ではわからないです。

「小説を書こう」と思い立ったのは、成人してからです。ちょうどその頃、これまでやってきたことに限界を感じ、別のことを始めようと考えました。いつかは小説を書いてみたい。他にやりたいことはとくにない……ならいまやってみるか! そんなノリで始めました。
何度か新人賞に送ってみるものの、受賞まで至らず、働きながら誰に見せることもなく書き続けてきました。

「書き始めてから10年くらい経ったなあ。このままでは自分の書いた小説は誰にも読まれないんだろうか」と悩んでいたときに、浅原ナオトさんの『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を書店で見つけ、カクヨムの存在を知ります。書いてきた作品を載せる倉庫、くらいの感覚で去年登録しました。
これまで長い作品を書くことができなかったのですが、少しずつ更新していけば、僕も長編を書けるかもしれないと始めたのが『熊本くんの本棚』です。


▲2019年12月13日発売『熊本くんの本棚 ゲイ彼と私とカレーライス』 制作中の表紙イラストを特別に公開!(イラスト/慧子)

──今回受賞した作品の最大の特徴・オリジナリティについてお聞せください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?

読んでいただくためにさまざまな仕掛けがあると思います。カクヨムでも巧みな書き方をされている方がたくさんいらっしゃいます。
『熊本くん』に関しては、いったいこの先どうなるのかわからない、と気になっていただけるように、毎回謎を残したり深めたり、続きが気になるようにと寸止めでつづく、にしています。
でも実は、書いている本人もさっぱりわかっていなかったからなんです。続きはどうなるのか、と読んでくださっている皆さんと同じような気持ちで書いていました。
とくに後半、僕自身が「どうするつもりだ熊本!」と書きながら理解していくような状態でした。そういうヒリヒリした展開を読んでくださった方は感じ取っていただけるんではないでしょうか。

選評でもありましたが「きもちわるい」こと。人が見て見ぬ振りをしておきたいところをあえてわざわざ書いたことが、注目していただけたポイントのひとつなのではないか、と思います。
読んでいて途中で投げ出してしまう人がいても構わない。最後まで読んでくださる方だっている、と信じて、書き続けました。

書いているあいだは、ライト文芸とかエンタメなんて、一切考えませんでした。型にはまってしまったら負けだ、くらいの気持ちでした。そして応募するとき、キャラクター文芸部門は懐が広いに違いない、と勝手に思っていました。
だめでもともと、応募することで読者を得るきっかけになれば、と。読んでくださった方にジャンルは判断していただこう。
ジャンルを意識しすぎると、型にはまってどこかで見たことのある作品となりがちな印象があります。『熊本くん』を評価していただいたのは、部門のなかで「わりと」型破りだったからだと思っています。

──今回受賞した作品を今までに執筆した作品と比べてみたとき、意識して変えた点や、後から気づけば変わったなと思う部分はありますか?

なにを書くか、よりもどう書くかをより意識しました。長編なので、どこから始めるべきか。最初に「熊本くんの噂」から始めよう。語り手である「わたし」とともに読者はそれが真実なのかを追っていく。続いて「どうして?」という謎を探っていく。しかし探偵役である「わたし」にも問題があり、こんがらがり始める。

主要人物たちをいかに魅力的に、話を展開させながら伝えていくか、意識していきました。人物の魅力は、記号的に表現しても読者にあまり伝わらないです。あくまで物語のなかで、どう行動をしたか、であらわすべきではないか? 語り手はどう見たか、に語り手の個性があらわれる。書きながら、自然と意識していったように思います。

──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。また、今回の作品には無かったけれど、こんな要素がある作品を読んでみたい、というものはありますか?

枠組みは、夏目漱石の『こころ』を借りました。最初の語り手が、謎だった人物の書いた文を読者とともに読んでいく。語り手を変えることで、かつてなにがあったのか、どんな因縁があったのかを明かしてみようと試みました。『こころ』の「先生の遺書」の部分を三島由紀夫の『仮面の告白』にして、途中太宰治の『斜陽』が重なる……というアイデアを歩いているときに思いついて、飛び上がったのを覚えています。「めちゃめちゃエモいじゃん!」と。成功したかどうかはともかく。

また小説のなかに小説や手紙、誰かの語りなど、さまざまな「声」を挿入することで物語が小さくならないよう気を使いました。長い作品ですし、一人称なので、別の意見や考えをどうしても入れたかった。話を展開させるのにも効果的だったと思います。

複数の語り手が一つの出来事について語る、という手法に興味があります。芥川の「藪の中」のような。複数の人物が同じものを語っているのに謎が深まっていくような……。そのためには語り手それぞれの個性をしっかり表現しなければなりません。勉強中です。連作長編にできないだろうかと練っています。

──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんななかで、自分の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行いましたか?

読者選考期間中、ツイッターで宣伝しました。
『熊本くん』は応募時すでに完結済み。完結作品は読者がつきにくい、とよくいわれています。ですがダメでもともと、SNSで宣伝はきちんとしよう、と毎日ランキングが更新されるたびに報告しました。

他の方の作品もいつも以上に読んで、いくつかの作品にレビューを書かせていただきました。レビューも自作の宣伝のひとつ、どう面白かったか、言葉にすることは、自分のスタンスや考えをわかっていただけるサンプルになる、と考えました。

以前『熊本くん』をあるサイトで紹介していただいたとき、PVがどっと増えたことがありました。自分による宣伝以上に、読んでくださった方のレビューはパワフルです。なので期間中、エゴサもしました……。でもこれらは書き手のみなさんはだいたいされていることですよね。

さまざまな思いを抱えながら作品を書いていると思います。もちろん思いは作品にこめるべきです。「作品を読んでほしい!」という気持ちを簡潔に伝える、どんな話か紹介するのは、宣伝以上に自作を見つめるいい機会になるのでやってみてもいいのかなと。的確なキャッチコピーや、気になるフレーズがある作品は、なにを読もうか悩んでいる読者を惹きつけると思います。

──これからカクヨムWeb小説コンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスがあれば、ぜひお願いします。

僕自身がそうだったのですが、既存の新人賞や小説コンテストにうまくはまることのできなかった書き手にとって、チャンスだと思います。
受賞後に編集の方と初めて打ち合わせをしたときのことです。待ち合わせ場所に向かう途中、興奮しすぎて鼻血を出してしまいました。とにかく緊張していました。 感想や改稿のアドバイスを伺って、「こんなことでビビっていてはいられない」と覚悟したのを覚えています。「本を出版できたらいいな〜」「小説家になりたいな〜」と呑気に考えていた頃の甘さを思い知りました。
編集の皆さんは「面白いものを作る」ことに真摯です。真剣な皆さんが大賞に選んでくださったこと、そして読者の皆さんが後押ししてくださったことにきちんとこたえなくちゃいけない、と褌をキツく締め直しました。履いてなかったけど、イメージで。「緊褌一番」というやつです。
読んでくださる読者の皆さんがいること、面白いものを見つけ書籍化したいと考えていてくださる編集の方々の存在は、書くモチベーションとなるのではないでしょうか。

10万文字以上の執筆は、かなりしんどい作業です。ですが、こつこつ一話一話アップしていくうちに、到達できます。忙しいときは無理をしない。休みたいときは休む。執筆時間がとれない場合は生活を見直す。長期戦ですから健康第一で。ありきたりでつまらないアドバイスかもしれませんが、一番重要だと思います。
「いま書いている小説の続きを考えるのがゲームをしたりアニメを観るより楽しい」のなら、きっと面白い作品になる、と思います。続きが思いつかないと悩むことすら、面白かったです。

書けないときはそれまで書いた部分を推敲してみるといいんじゃないでしょうか。「削ったら文字数が!」と思われるかもしれませんが、書けないとただ悩むより、手を動かしていたほうがアイデアは湧いてきます。僕は、いつだってそうです。

──ありがとうございました。


関連記事:カクヨム出身作家のインタビュー記事一覧
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第4回カクヨムWeb小説コンテスト大賞受賞者インタビュー|たかた【ラブコメ部門】

賞金総額600万円、受賞者はKADOKAWAからの作家デビューを確約する第5回カクヨムWeb小説コンテストを、今年も11月29日(金)より開催します。

そこで、かつて皆様と同じようにコンテストへ応募し、そして見事書籍化への道を歩んだ前回カクヨムコン大賞受賞者にインタビューを行いました。創作のルーツや作品を作る上での創意工夫、そして受賞後の変化などを語っていただいた受賞者の言葉をヒントに、小説執筆や作品発表についての理解を深めていただけますと幸いです。



第4回カクヨムWeb小説コンテスト ラブコメ部門大賞
たかた
▼受賞作:年上エリート女騎士が僕の前でだけ可愛い(受賞時タイトル:すべてをあきらめた女騎士がかわいすぎる件)
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──小説を書き始めたきっかけについてお聞かせください。また、影響を受けた作品、参考になった本があれば教えてください。

特に『これ』といったきっかけはなかったような……学生時代から、下手な漫画を描いたり、ハガキ職人をやってみたり、その当時興味があったことに色々と手を出していたので、小説についても、あくまでその中の一つという位置づけだったかと。

子供のころから漫画ばかり読んでいたので、バトルものでも、ラブコメものでも、当時好きだった作品の影響をわりと受けていると思われます。『ラブひな』『ToLOVEる』『ネギま!』など、かわいい女の子がいっぱい出てくる作品が好きでした。

──今回受賞した作品の最大の特徴・オリジナリティについてお聞せください。また、ご自身では選考委員や読者に支持されたのはどんな点だと思いますか?

ヒロインである女騎士のキャラクターが強い、というその一点だと思います。アラサーの女騎士という、メインヒロインとしては少々お高めな年齢設定ですが、そちらもヒロインのかわいさのギャップを出すのに一役買ってくれたのかと。講評でも、読者の皆様のレビューでも、おおむねその点に言及されておりますし。


▲2019年12月1日発売『年上エリート女騎士が僕の前でだけ可愛い』(著/たかた イラスト/あるぷ) 表紙を飾るのはこの作品のヒロイン、女騎士カレンさん

──今回受賞した作品を今までに執筆した作品と比べてみたとき、意識して変えた点や、後から気づけば変わったなと思う部分はありますか?

web小説は、読者の方が『面白くない』と思ったらその時点でブラウザバックされ、以降はもう読んでもらえないことがほとんどですよね。
なので、とにかく出し惜しみせず、自分の面白いと思ったシチュエーションを次々突っ込んでいくことを意識していました。設定や文章、世界観に多少の粗があっても、例えばヒロインがかわいかったり、例えばスカッとするような展開を毎回用意していれば、意外と読み進めてもらえるのかな、と。

──作中の登場人物やストーリー展開について、一番気に入っているポイントを教えてください。また、今回の作品には無かったけれど、こんな要素がある作品を読んでみたい、というものはありますか?

年下の主人公が年上ヒロインをいじり倒してその反応を楽しむところです。主人公が受け身な性格ではなく、ヒロインに対してこれでもかとグイグイ攻めていくので、書いていてとても楽しかったです。

女騎士が好きなので、女騎士成分満載の作品などをもっと読んでみたいです。嗜好が偏っていて申し訳ありません……。

──Web上で小説を発表するということは、広く様々な人が自分の作品の読者になる可能性を秘めています。そんななかで、自分の作品を誰かに読んでもらうためにどのような工夫や努力を行いましたか?

多くの方の目に留まるよう、SNS等で積極的に宣伝したり、また、交流をしたり、というのも手段の一つですが、そちらは自分にはあまり合わなかったので、宣伝をすることに囚われず、タイトルやキャッチコピー、あらすじ、第一話の書き出しなど、作品に関わる、『カクヨム内でできること』に注力していました。

能動的なやり方ではないので、もちろん、その分だけ読まれないまま埋もれてしまう確率も高くなるわけですが、読みにきてくれた読者の方を、そこでなんとか離さないようにすれば、広く読まれる機会を得る可能性は均等にあると信じています。

──これからカクヨムWeb小説コンテストに挑戦しようと思っている方、Web上で創作活動をしたい方へ向けて、作品の執筆や活動についてアドバイスがあれば、ぜひお願いします。

ちょっとでも興味があれば、長編でも短編でもどちらでもいいので、ものは試しで挑戦していただければと思います。初めての方などは躊躇することもあるでしょうが、まずはやってみてください。もちろん、ダメそうなら途中でやめてもいい、程度の心構えで全然構いません。続けるのもやめるのも自由で、それがweb小説のいいところです。私もそこがスタート地点でした。

あまりたいしたことを言える立場にはありませんが、カクヨムで活動する作者・読者の一人として、これからも皆さんと一緒にコンテストを盛り上げていけたら嬉しいです。

──ありがとうございました。


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