第39話 【土竜】ダンジョン

【土竜ダンジョン】は地面の下や落ち葉の下、石の下などに潜むモンスターが棲むダンジョンだ。例えばミミズやオケラ、ゾウリムシなどの1mを超える大きさの肉食モンスターが突然飛び出して来て獣や人間を食おうとする。討伐方法は地面に空いた穴を見つけて水を高圧水流で流し込む。


2人には空中に待機してもらい気配察知で虫共が跳び出すのを待ち伏せして刀や魔法で討伐させるのだ。


落ち葉の下に居るモンスターは地面を濡らして雷を落とす。

石の下に居るものには炎魔法を放ってみる。

ここの木や植物は次の収集人が来るまでに再生しているので問題ない。

それよりも自分が煙に巻かれないように風魔法で煙を吹き飛ばすかストレージとかマジックバッグに収納することをお薦めする。


この階層のドロップ品は良質な【畑の土壌】位なものだ。25㎏入りの袋に入って出て来る。あとは魔石だけ収納したら次に進もう。


1階層主は巨大モグラだ。全長20mは有るだろう。

俺達は閃光遮蔽結界を張っておいて階層主の落ち窪んだ眼の前で眩い閃光を放つ。


モグラは目は見えないけれど光は感知できるらしい。

もしも人間が目を傷めるような強い光を受

けたらどうなるのだろうか?もっともこいつはモンスターだ、普通のモグラとは違うだろうが反応を見てみたい。


ブギャーーーーー‼

叫び声をあげてもがき苦しんでいる。苦痛は有るみたいだな細長い鼻をひくひく動かして俺を探しているようだ。

「おじちゃん、弱い者虐めはいけないよ」

紗耶香に言われて大型土竜を裏返して、サクッと心臓に刀を突き刺し息の根を止めてあげた。

こいつのドロップ品は良質な有機肥料だ。勿論、25㎏入りの袋入りだが数は少ない。毛皮は短い毛がビロードみたいに美しく手触りが良いので高級品だ。魔石はモンスターならかならず持っていてドロップする。

肥料は下の階層でも採れるのでサッサと下に進もう。


その後もミミズの怪物やらオケラやゾウリ虫やらのモンスターを倒していき肥料やら畑の土壌をワンサカ手に入れて今の3人なら手こずることも無く100階層に着いた。


 ここのラスボスは本物の土竜だ。土魔法を操って地面から岩槍を突き出して来たり空中から岩を落して来る。鱗も堅い。

ここでも俺は出来るだけ手を出さず2人に任せようと思う。

こいつの前足は手のひらが横向きなので力が入らず前進速度は遅い。翼は無いが浮遊魔法は使えるのでそこは注意が必要だ。


紗耶香は落ちてくる岩をパンチで粉々にして岩槍はキックで粉々に砕いている。なかなかの脳筋ぶりだ。

一方紫苑は攻撃してくる岩をストレージに収納している。

この岩は大理石だったり御影石だったりするので粉々にするのは勿体無い。

 一応粉々になった岩も硬度が高い宝石類が入っている確率が高いので無駄には出来ない。紗耶香が砕いた岩は俺が収納しておいた。収集人の血が放ってはおけないのだ。


 とうとうドラゴンは最も硬度の高いダイヤモンドの大岩を抱えて浮遊して二人の頭上に位置どると、急降下して2人を圧し潰そうとした。二人共日緋色金の刀でダイヤモンドの大岩を切りつける

ちょっとだけ傷がついたが切れない。

潰されると思った瞬間2人は俺の側に転移して来た。

「ダイヤモンドって本当に硬いのね。どうしょう」

「鱗も凄く硬かったしなかなか口も開けないし体内に攻撃できません」


「ならこれで切り付けて見ろ」

俺は2人に【4種超合金】で作った刀を渡した。

それでも駄目なら……いやいや奥の手は最後まで取って置くものだ。


パッキーンと甲高い音がしてダイヤモンドの大岩が割れ【土竜】の鱗が切裂かれて2人の女の子によってラスボスは滅多切りされた。

相手が悪かったな【土竜】よ。南無阿弥陀仏。


ラスボスのドロップ品は【良質な土壌】、【有機質肥料】が各1トン、魔石と鱗、鱗に隠れていたが高級毛皮30m×50m、パーティー会場に継ぎ目無く敷ける大きさだ。これ1枚で1億円は下らないだろう。

鱗も硬くて防具に加工されるが時々硬度の高い宝石の鱗が混じっている時が有るので、纏め売りはお勧めできない。手間でも1枚1枚確認してから売ることをお薦めする。






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