第17話 女性S級収集人
「そこのお嬢さん、手助けが必要か?」
「見たら判るでしょ。サッサと助けてよ!」
うわっ、ヤバイ系の女だ。サッサとゴリラを倒してズラかろう。俺は強制収納は使わずに戦うことことにした。
オリハルコンの剣に今度も雷魔法を付与して、転位してゴリラの後ろから頭に切りつけた。
ゴリラは何が起こったのか分からずに死んでいった。
女収集人はポカーンと口を開けてヘナヘナと崩れ落ちた。
あれっ、此処ってS級ダンジョンだったはずだよな。この子本当にS級収集人なのか?弱すぎるんじゃないか?
「アーン、怖かったよう」
ツンツン女が泣き出した。
「あの、危ない所を助けて下さってありがとうございました。
庇われていた女性が礼を言ってくれた。良かった、こっちはまともな娘みたいだ。
「怪我とかしてないか?」
「大丈夫ですどうもありがとう御座います」
「君たちS級収集人なの?A級以下だと入れないダンジョンな筈だけど。
「私はつい最近S級に成ったばかりです。山名恵と申します。この子はメアリー、日系2世でアメリカで活躍していたのですが私がS級に成ったのをきっかけに日本でパーティーを組むことにしたんです。初めて潜ったこのダンジョンで私がドジ踏んでしまって、罠にはまってこのステージに落されてしまったんです。で、あのモンスターゴリラに襲われてさっきの状態になってしまっていたのです。あのう、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、俺は秋葉隆史。俺もつい最近S級に成ったばかりの収集人だよ」
「エエ、噓、あんなに強かったのに最近S級になったばかりの収集人だなんて、てっきりSS級の方だと思いました」
「SS級って初耳だなあ」
「アメリカでつい先日現れたんです。そうですか、日本ではまだ出現していないんですね」
「おじさん、さっきはありがとね。あたしはメアリーよ。おじさん、あたしの
泣いてたツンツン娘が割り込んで来た。相変わらず失礼な奴だ。
「あたしのって、君たちはそういう関係なのか?」
「うん」「いいえ違います!」
2人が相反する返事をした。
「めぐみん、冷たーい、氷の女」
「そうよ私は氷の女。変態女に対してはね。秋葉さん、私はノーマルな女です。誤解しないで下さいね」
どうやら普段からこんなコントを繰り広げている仲みたいだ。
「ところでこの後どうするつもり?ここから戻る方法は知っているのかな?」
「判りません。でも、ここのステージボスを倒せば何とかなるかもしれません、他のダンジョンではそうでしたので」
「そうか、俺もこのダンジョンは初めてだからとにかくこのままステージクリアを目指すしかないかな……」
「あのう、私達も付いて行ってもいいですか?私達だけだと不安しかないので」
「そうだなそうしたほうがいいだろうな。でも1つだけ条件が有る」
「なんでしょうか?」「なあに、おじさん」
「その条件とはな、メアリー、俺をおじさんと呼ぶな。秋葉さんと呼べ」
「は~い」
といったわけで俺達は臨時のパーティーを組むことになった。
ちなみにここではスマホは通じなかった。
その後は山の頂上を目指して進んで行った。その間に熊とか狼とかのモンスターと遭遇したがメアリーと恵で片付けていた。メアリーには俺の予備の剣を貸してある。恵は魔法で後方支援している。
山の7合目辺りに来た。
「秋葉さんここって【安全地帯】じゃないかしら」
恵が言った。
モンスターが入って来れない【安全地帯】は、看板なんて無いけれど心で判ってしまうのだ。
「そうみたいだな。ここで一旦休憩するか」
「賛成」
「私達ちょっとお花摘みに行ってきます」「覗かないでよ」
「誰が覗くか!」
彼女らが離れている間にさっき倒したモンスターゴリラの肉でステーキとスープを作っていた。【オーロラトラウトサーモン】の塩焼きも提供するつもりだ。ちゃんと食卓のセットも用意して置く。
モンスターゴリラのドロップ品は売上金を3等分するが肉に関しては俺が貰うことで合意してある。
帰って来た彼女らは豪勢な料理に驚いている。
「あたしダンジョンでこんなにも美味しい料理を食べた事無いよ」「私も」
「そうか?アメリカなら日本と比べ物にならないほど儲かっているんだろ?」
「1部の人達はね。あたしらなんかは大したことないの」
「収集人が増えすぎて私達は旨味の有るダンジョンにはなかなか入れないんです」
「日本からも4人も来ていて競争が激しくなっているんです」
「でそいつらから今の日本ならS級収集人はいないから何時でもS級ダンジョンには入れるぞと聞いて、思い切って日本に帰って来たんです」
そうだったのか。アメリカでも持てる者と持たざる者の貧富の差が有るみたいだな。
でもこいつらが日本で活躍してくれたら俺が楽できるかも知れないな。俺は心の中でほくそ笑んだ。
休憩を終えて食器や椅子やテーブルを清掃魔法を掛けつつストレージに収納していった。
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