第37話 妹一家に防衛力を付ける

妹の静江をいつも利用しているホテルに呼んで内密な話を切り出した。


「つまり私とお兄ちゃんがキスしてお兄ちゃんのスキルを私が手に入れてそれを今度は私の旦那に引き継ぐって言うことね。

でも私には【スキル交換スキル】が無いからキスだけだと大したこと無いのよね……」

静江は少し考えていたが意を決してこう言った。

「私は良いよ。おにいちゃんとなら多少嫌らしい事でも受け入れる覚悟は有るわ。いつもいつもおにいちゃんに守られてばかりいて、いつかはお返ししたいと思っていたのよ。自分で自分を守れるようになることで少しでもお兄ちゃんの助けになるのであればどんなことでもするわ」

と、服を脱ぎだした。

「おいおい、何で脱いでいるんだ?」

「だって肌を合わせれば交換できる威力が高まるんでしょ」

確かにそうなんだが、実の妹といかがわしい事をすることに引け目が有った。


だが結局静江の積極性に負けて自分も服を脱いでしまっていた。

『スキル交換』

念じると熱いものが静江と俺の間を循環した。


 『スキル交換成功しました。が適用されて100%で交換されました』

と天の声に告げられた。最後の一線を越えずに済んで俺はホッとした。

 「ねえお兄ちゃん、紗耶香がお兄ちゃんの事を男として愛していることは気が付いているでしょ。これで100%なら紗耶香にも交換してあげて、最後までいけないのは紗耶香には不満かも知れないけれど、お兄ちゃんはもう桜さんの物なんだから諦めて貰うしか無いわね」


 なんか凄いエロい展開になって来たが最後の一線は強制的に停止させられるので命を守るためには強くなって貰った方が良いだろうと都合よく考える俺が居た。

これこそ桜が言う【房中術】のスキルのせいなのかも知れない。


 これは桜に内緒にしてはいけない事だと思う。

 俺は帰って桜と相談する事にした。


 桜の答えは俺の斜め上を行くものだった。

「私も紗耶香ちゃんの実力向上には賛成よ。もっと早くそうしておいた方が良かったかもしれないわね。ねえ、それにつけても私は紫苑ちゃんに彼女本来の役目を果たさせてあげたいわ。今のままだと蛇の生殺し状態だと思うの。2人を連れてS級収集人への武者修行に出掛けた方が良いと思うわ。養魚場のことは私に任せて、人手が必要な時はダンジョン庁東京本部に協力を要請するから安心していってらっしゃい」


 というわけで俺は紗耶香と紫苑を連れて2人をS級収集人に育て上げる旅に出ることになった。


 SS級収集人の俺のパーティーなら直接A級ダンジョンに入れるのでそこから経験値を上げて行こうと思う。

 紗耶香はC級収集人だけどB級ダンジョンを飛ばしてもA級収集人に成れると思っている。メアリーや恵はそうやって飛び級でA級収集人になったといっていたのだ。アメリカだけでなく日本でも同様だと信じている。


 というわけで今日はA級ダンジョンの中でも比較的簡単な【風竜ダンジョン】に来ている。


 そうそう、紗耶香も紫苑も俺の持つスキルを全部100%で交換済みだ。今の時点でもA級収集人の実力持っているがもっと経験を積むことで俺と同等の強さを身に付けることが出来るはずだ。


 最初に出て来たモンスターはでかい眼を持った巨大なトンボだった。羽を広げると2m位になる。そのでかい、複眼に捕らえると風刃を放ってくる。防御結界を張っておかないと切り刻まれてしまう。俺はそいつを【風切りトンボ】と呼んでいた。

 紗耶香と紫苑には念話で予め防御結界を張っておくように伝えておいた。

 最初に紗耶香がトンボの目玉を頭ごと切り落とす。まず1匹。

すると次は2匹現れた。今度は紗耶香と紫苑が1匹ずつ倒した。

 今度は4匹出て来た。倍々ゲームだ。

結局128匹討伐したところで1階層踏破完了だ。

 そんな感じで風魔法を操るモンスターが倍々で出て来るダンジョンなのだ。

そして51階層から雨魔法を操るモンスターも現れる。それでもダンジョン名は【風竜ダンジョン】なのだ。


 名前詐欺だろう!最初に潜った時俺はそう思ったものだ。

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