第36話 暗殺者達侵入

幸いなことにこのダンジョンでは雨も雪も降らない。他のダンジョンでは風雨の所も有った。だからこのダンジョンが好きなんだ。尤も大気には毒が充満してるけれどね。


この毒だけでも侵入者には辛いものが有るだろう。ガスマスクが必要だし酸素ボンベも必要だろう。

生息しているモンスターも結構強い。


念には念を入れて、ここのダンジョン内には至る所にカメラを取付けてモニターで監視出来るようにして有る。魔力検知装置も取付けて敵意の魔力を持つ者は仕掛た罠に誘導できるようにしておいた。普通のA級収集人なら普通に収集活動可能なのだ。このダンジョンは俺の私物ではない。ダンジョン庁に金を払って借りている。一応国有財産なんだよね。ダンジョンって。そこを好き勝手に使っていたら文句を行って来る人間が必ず居るだろうからその対策の1つだ。

魔法が使えず毒耐性も無い人間にはとても暮らしていける所ではないんだけどね。



これを読んでいる人間にスパイが居ない事を信じて罠の種類を何個か教えて置こう。


① 警察の留置場に転送する。(勿論危険物(爆弾等)は強制的に没収しておいて、後で証拠物件として提出する)


② 通常安全地帯には毒を除去する結界を張る装置を設置して有るが、殺意を感じる相手にはその装置を停止させる。

俺を殺しに来た人間に情けは必要無い筈だ。


③ いやいや、これ以上は明かしちゃいけない㊙事項だ。

知りたい者は実際にこのダンジョンに潜って確認してくれ。

命の保証はしないけれど、それでも良ければね。


 殺意検知装置に早速引っ掛かる者が居た。

10階層だ。4人パーテイーだ。

仲間同士で話す言葉はC国語だ。だが、C国人とは限らない。他国のスパイがわざとC国語を話しているのかもしれないからだ。


 さて、侵入して来た連中を鑑定すると全員B級収集人だ。日本のA級ダンジョンを舐めてるとしか思えない。


 『日本のダンジョンなんて我が国のダンジョンに比べて簡単に踏破出来るだろうさ。子供の遊び場みたいなもんだろう』

『我々数億人の中から選ばれしエリート収集人にとって役不足だろうが我慢して遊んでやろうじゃないかギャハハ』

声高に話す様は正にC国人だな。わざとモンスターを呼び寄せているんじゃないのかとさえ思ってしまう。


 予想通り10階層のモンスター・コブラ、マムシにそっくりの毒蛇がわらわらと集まってきた。それに加えてヘビ達の天敵であるはずのマングースそっくりのモンスターも集まって来て一斉に侵入者共に襲い掛かった。


 これはもう罠を発動するまでも無く奴らが勝手に自滅してくれそうだ。

俺は高みの見物としゃれようか。後程奴らの死体を収集して警察へ届けよう。国籍を特定したら、その国の大使館に送り届けることになるだろう。偶々日本人の収集人が発見したことにしたりしてね。

 「ここはA級ダンジョンでも最高難度の毒竜ダンジョンですよ。B級収集人が入って良い場所じゃ有りません。今後お国の収集人達に徹底的に周知勧告してください、それにしてもよくもまあB級の人たちがA級ダンジョンには入れたものですねえ、入る時に偽装工作でもしたんでしょうかねえ」

と、嫌みたっぷりに言ったりしてね。


 奴らの手の甲にはAと表示されていたが実力はどうみてもB級以下だった。

俺の【鑑定SS】スキルはごまかせない。



 今回は暗殺者共が勝手に自滅してくれたからいいが今後本当に妹夫婦にちょっかいを出されたらまずいな。

対策を講じておかないといけないだろう。俺は妹の静江に会いに行くことにした。

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