第6話 氷竜ダンジョン制覇
今度は【氷竜ダンジョン】に転移して来た。
ここもA級に成りたての頃に何度か挑戦したところだ。ここを制覇する前に別の3か所のダンジョンを制覇してしまい、【毒竜】ダンジョンに嵌ってしまって、ここ【氷竜ダンジョン】は興味を失ってしまったのだった。
なのでここは95階層にまでしか入っていない。
ということで96階層から攻略開始だ。
96階には【モンスターアイス・イエティ】が出る。全身真っ白な長い毛に包まれたオランウータンを大きくしたようなモンスターだ、身長2mを越えていて身長よりも長い両腕でかかえこまれると普通の人間の骨など簡単に折れてしまう。
いわゆる、イエティとか雪男とか呼ばれるモンスターだ。身体に冷気を纏っていて捕まると冷凍死してしまう恐れがある。肉食な為死んだら食われてしまうと鑑定された。
1匹現れた。冷気は熱に弱いだろうと、俺は生活魔法の炎に1000倍の魔力を込めてそいつ目掛けて放つ。生活魔法の炎なら1500度位の温度だが1000倍の魔力を込めると短時間だが100万度を超える。太陽のコロナの温度に相当する。
これなら【モンスターアイス・イエティ】等瞬殺だ。約100匹の【モンスターアイス・イエティ】を討伐してキングの付く上位種を倒すとここでも階層主はエンペラーが付く【エンペラーコールド・イエティ】が現れた。身長10mを超えてその上動きが俊敏になる。俺が1000倍の魔力をこめられるのはたったの30秒だけだ。これで倒せなければ俺の負けだ。
やるしかない!1000倍攻撃を放つ。図体がデカイ分避けられることもなく上手く当たった。
流石にエンペラーだ。簡単には死なない。30秒経った。
そこで強制収納を発動するとギョエーーーーーと断末魔の叫び声を発して消えた。ドロップ品は30㎝を超える大きさの魔石と毛皮と500㎏の肉だった。お得意様のお店にお土産に持って行こう。体の大きさの割に肉が少ないのは毛皮で大きさを誤魔化していたようだ。
そんな調子でモンスターの生命力が半分以下になると強制収納が効くみたいだ。97~99階層まで踏破して100階層の扉の前に来た。出て来るモンスターは寒さに強い、名前に氷が付くモンスターばかりだった。
さていよいよ【氷竜】との戦いの時だ。
そこは大雪原だった。だが雪ノ下は凍り付いた大地だった。それも1mも有ろうかと言う分厚い氷に覆われていたのだ。
雪の厚さも1mは有るだろう。ここには冷凍ミカンの木が自生している。木自体が熱を帯びていて豪雪の中でも葉が茂り花が咲いて花に木自体が結界を張って結界の中で弱い風魔法が舞って花粉がめしべに届くようになっていて、自家受粉して実をつける。せっかくなら受粉せずとも結実すればよいだろうにと思ってしまう。だがこの木は健気にも自然界の掟に従っているのだ。だがその後は流石ダンジョンの中の果樹だと思わせるものだった。実が熟すと熱を出すことが無くなって凍結していき正に冷凍ミカンが木に生っている不思議な光景に出くわすことになる。この冷凍ミカンはデザートとして喜ばれている。1個1万円でも競って購入する人が続出する。まるでシャーベットの様な口当たりで濃厚なミカンの味なのだ。
俺は雪原の上にたいらな厚い結界を張って滑らないように適度な摩擦を施して結界の上を走り回って冷凍ミカンの実を収穫していく。ここでも3万個収穫したところで階層主の【氷竜】が現れた。
まるで3万個収穫した時点で階層主が現れる仕組みのようだ。
【氷竜】の最大の武器は口から猛吹雪を吹き出す【ブリザードブレス】だこの吹雪に巻き込まれるとホワイトアウトして下手に動けないがそのままでいると凍えてしまう。下手に動くと氷竜に踏み潰されてしまう。氷竜は相手の動きを感知出来るのだ。
そのブレスが吐き出される直前に俺は自分に結界を張って寒さから身を護る。
そして当たり前のように高温炎攻撃で反撃した。
だがそれは逆効果だった。体温が上がった氷竜の動きはさっきよりも良くなってブレスも効果が増したようだ。
しばらくの間、ブレスを避けながら対応策を考えた。
そうだこいつも変温動物の爬虫類だ。いくら低温に強い竜種だとしてももっともっと低温だったらどうだろうか?
「絶対0度結界」氷竜を囲んだ結界内を魔力1万倍で冷やしていく。たった3秒でマイナス273℃になり結界内で氷竜の動きが止まった。
「強制収納!」
氷竜は消え去りドロップ品が収納された。竜種のドロップ品は余すことなく利用される。魔石は勿論、肉、鱗、骨、爪、血液、内蔵、翼、糞に至るまで高価で売れる。
その時ピコーンと脳内にチャイムが鳴った。
(これはS級に昇格出来たのかな?)
手の甲を見ると【特S】と刻まれていた。初めて見る刻印だ。
鑑定すると資材収集に特化したという意味の特と言う文字だった。俺にとっては大変に有り難いものだった。
早速【特S】の恩恵が有った。
ピロリロリーンと優し気な効果音の後に『足元にエリクサーの元になる薬苔が存在します。1,000℃程度の炎で雪と氷を溶かして根っ子ごと収納してください』と教えてくれる。言われた通りに魔力を押さえて雪と氷を溶かして溶けた水も薬苔もストレージに収納していく。
『あと2種類の薬苔を集めればエリクサーの材料が揃います』と教えてくれたが残りの2種類の薬苔が何処に有るかは教えてくれない。もしかしたらS級ダンジョンに有るのだろうか……。
どうしてもS級ダンジョンを攻略しにいかなくては駄目みたいだな。
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