第21話 ダンジョン調査結果報告

その日はこのダンジョンの【安全地帯】で1泊して翌日ダンジョン庁東京本部に調査結果中間報告に赴いた。桜に電話であらましを教えて、長官に会えるかどうか確認したら運良く今日なら会えるということだった。

桜と、メアリーと恵は既に顔馴染みだった。2人が日本に来てS級ダンジョンの情報を調べている時に、アメリカからS級収集人が来ていると知った職員から桜に連絡が行ったらしい。それだけS級収集人が増えるのは大事おおごとなのだ。

その時に2人は第3S級ダンジョンを薦められたらしい。時間軸にして俺に依頼が来る1日前だった。つまり2人は俺が行くまで1日あのダンジョンにいたことになるらしい。

ダンジョンに入ったまま連絡が無いので心配になって俺に調査依頼したらしいだが俺は2人のことは聞いていなかった。聞いていてもランダムに別々のステージに転送されるのだから追跡不可能だっただろう。2人に俺が転送されたステージで出会えたことは奇跡的な事だったのだ。

もしかしたら聞いていても記憶に残らなかったのかも知れない。「確かに伝えたんだけどなあ」と桜が首を傾げていたのだ。不思議なことが多いダンジョンだ。

坂本長官に【魔力バッテリーメタル】を見せてその効用を話すと、

「そうか、これはとんでもない代物だな、桜君、技術部の鈴木部長を呼んでくれないか?」

「はい承知いたしました」

坂本長官は買い取り部長やら重役陣を招集して会議を行う事になった。

「採取して来た【魔力バッテリーメタル】と【日緋色金のインゴット】やその他の素材を買い取っていただくことは可能でしょうか?」

会議が長引きそうなので、女の子2人を解放してあげたくてそう言った。」

「おおそうだな。桜君買い取り室に案内してあげたまえ。彼女達のホテルを手配してくれたまえ。秋葉君には申し訳ないがもう少し残っていてくれないか今後の事について大雑把な予定を立てておきたいのだ」

「はい、承知いたしました」


そこで決まったのは今後も第3S級ダンジョンでこれらの素材が収集可能なのか、ダンジョン庁の職員を案内して欲しいと言う事だった案内人兼護衛任務の依頼だったが準備が必要だと言うことで、追って日時を伝えるのでホテルで待機していて欲しいということで、俺も買取所に行って素材を出すことにした。

買い取り所には先輩S級収集人が収集して来たマジックボックスが10個有ることになっている。実際に俺が目にしたのは5個位だが1個でも容量無限大らしいのでダンジョン別に整理しているらしい。実は今回俺たちの宝箱にも入っていたので3個増える事になるのだろう。

実は桜もストレージを持っているが個人のストレージに国有財産を入れて置くのは何かに問題が生じる恐れが有るので、複数人でマジックボックスを管理しているらしい。

俺でも他人の物を入れておくなんて絶対に嫌だ。それも国有財産をだなんて御免被る。


今回の俺の稼ぎは3桁億円になった。【日緋色金のインゴット】と【魔力バッテリーメタル】についてはまだ買取価格が決まっていない。世界で初めて発見されたものだからだ。なので今回の分は預り証を受け取って帰る事になった。


上京した時にはいつも泊まっている高級ホテルに向かった。

このホテルはA級収集人以上の収集人御用達ホテルでダンジョンで収集作業を終えて東京本部で素材を売ってすぐベッドに潜れる距離に有るので便利なのだ。ダンジョン庁側からすると、もしもの時に直ぐに収集人を招集出来る利点が有る。


もう一つこのホテルには収集人の為の転移ポイントが設定できる部屋が有るので転移出来る者は全国どこからでも転移可能なのだ。勿論犯罪に利用されないように様々な点検装置が仕掛けられている。それがどんなものなのかはここでは言えない。国家機密でもあるのだ。


久しぶりにゆっくりと眠ることが出来た。モンスターは怖くないが年頃の娘2人と昼夜一緒に過ごすのは鬼より怖い体験だった。下手なことをすると痴漢とかセクハラの冤罪を掛けられる恐れがあるからだ。


翌日早朝、桜からメールが届いていた。日付を見ると午前1時だった。彼女、睡眠時間取れてるのか心配になった。

今日の午後2時に東京本部に来て欲しいとのことだった。第3S級ダンジョンへダンジョン庁職員を護衛しながら再度潜る為の打合せをしたいとのことです。と書いて有った。


第3S級ダンジョンへの再入は2日後に決まった。ホテルまで職員さんが車で迎えに来てくれるらしい。


その間に【異性間保有スキル譲渡、譲受スキル】について桜に相談に乗って貰うことにした。


桜は、メアリーと恵からも相談されていたという。

ホテルのラウンジで会った時の桜は怒っているような困り果てたと言う顔をしていた。

他人に聞かれてはまずい内容なので、俺の泊っている部屋に入って貰った。何度も確認を取ってのうえである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る