第31話 スタンピードの終焉 ①

C級ダンジョンに発生したスタンピードはゴブリン、ウルフのC級ダンジョンのモンスターをほぼ討伐を終えたところに、C級ダンジョンのボスともいうべきオークとB級ダンジョンに居るはずのオーガが溢れ出してきた。


強制収納で始末するのもいいが、せっかく剣や棍棒を持った強者が相手なので、取得したばかりの【仙桃流刀術免許皆伝】の実力を試そうと思う。俺の意を汲み取ったのか、メアリーも【仙桃流片手剣術免許皆伝】を試すつもりのようだ。

但しテレビで中継されているので血が噴き出す映像をお茶の間に届けるのはいかがなものかと

、まず峰打ちで闘争力を削ぎ、すかさず強制収納する事にした。

メアリーには、剣の刃ではなく側面で平打ちする事を注意して戦闘を開始した。


刀術は予想以上に強くなっていた。オークやオーガごときでは相手にならないほどスピード感が違うし,腕力も体幹も強化されていて、まるで泥人形を相手にしているみたいだ。

峰打ちだけで相手を真っ二つに出来そうだ。

グロテスクな映像になりそうなのでやらないけれどね。

メアリーも同じ様な感覚を覚えているようだ。

『手加減が面倒くさいよ。本気出していい?』

『止めとけ!孫娘が悪魔になったと爺ちゃん婆ちゃんがショックを受けるぞ』

『そだね、せっかく無事にダンジョン庁に保護されたのに泣かれたくないものね』

メアリーの祖父母は避難する際にスマホを家に置き忘れて来てしまったのだそうだった。

普段スマホを使っていなかったのでお婆ちゃんのスマホは充電切れになっていたのに気が付かなかったらしい。


C級ダンジョンは通常50階層までしかない。難無く50階層にたどり着いてしまった。

ボス部屋の扉が開いていてそこからオークやオーガが湧きだして来ている。ボス部屋の中で何が起きているのだろうか?


テレビ局のクルーには30階層で地上に戻って貰った。彼らには護衛のB級収集人が2名同行していたので安心して任せたのだ。

倒したモンスターはリポップしていないので大丈夫無事に地上に帰れるだろう


何故30階層で帰したのか?上位種魔力を検知したからだ。彼らを庇いながら手加減して戦うのはストレスになるからだ。


そこからは刃をメインにして戦った。


『凄い凄い身体が軽くなって素早く動けるし相手の動きが良くわかる。オリハルコンの剣だと相手の剣さえ切れちゃうし、流石、免許皆伝ね」

メアリーは楽しそうに笑いながら返り血も気にしないでオークキングやオーガキングを血祭りにあげている。

(テレビクルーを帰して良かったな。こんな孫娘の姿を爺ちゃん婆ちゃんに見せられないよ、卒倒してしまうだろうが)


そしていよいよボス室内に入るようになった。湧き出す数が減ってきたからだ。


俺とメアリーは無双状態だった。不思議なことにダンジョンの中で死んだモンスターは

光の粒子になって消え、魔石などの素材をドロップするものだが、今回は死体はそのまま残るし血だまりも汚れも残ってしまっていたのだが、ボス室内で死んだモンスターは以前のように光の粒子になって消えてドロップ品を残している。


遂にラスボスが現れた。

腹の膨れた巨大な蟻とか蜂のような昆虫みたいなモンスターだった。

オークとオーガを組み合わせたような顔で卵を産んでいる。鑑定すると【女王オーガク】と出た。産んだ卵は2~3分で孵化してオークとオーガの幼体になる。こいつがスタンピードの源か!

それはそれとしてゴブリンとウルフは何処で産まれていたのだろうか?この【女王オーガク】を倒してオーガが産まれなくなれば一先ず終了

となるだろうが、ゴブリン、ウルフがどこで発生しているのか調べながら地上に戻ろう。

孵化した幼体は数分で成体に成長する。

これはもう、普通のオーク、オーガとは別物のモンスターだと言っていいだろう!


何はともあれ、今はこの化け物を退治しなければ、先に進めない。


取り敢えずもう卵が産まれないように女王を倒してしまわなければならない。

日緋色金の刀では切れない。金属の皮膚では無いようだが硬くて弾かれる。何故だろう?どうやら物理攻撃に対して上級結界を纏っているみたいだ。

そうなったら魔法攻撃だ。


ボス部屋が壊れない程度の威力で中級魔法(初級魔法の魔力量を中級魔法並みに増大させた魔法)を放ってみる。先ずは火魔法、肉の焦げる匂いがするが倒せない。ならば氷魔法で凍らせようとするがこれも効かない。その後色んな属性の魔法を撃ってみたがどれも効かない。


ならば奥の手だ。あれを使おう。

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