第4話 助っ人登場

留守番応援人材はすぐ見つかった。

「はーい、おじちゃん紗耶香だよー、オヒサー」

何と助っ人第1号は姪っ子の紗耶香だった。桜に訊くと俺の養魚場の留守番を募集したところ紗耶香が真っ先に応募して来たそうな。

募集の条件が、泊まり込みになるので、自炊出来る事。

さみしがり屋で無い人、退屈に負けない人。怖がりでない事。水音が聞こえなくなったら目が覚めるような気配に敏感な人など普通じゃない要項が乗っていたが、普段からダンジョンで一人でキャンプしているのと、女性でも俺と叔父、姪の間柄なら男女間の間違いは起きないだろうと合格にしたのだそうだ。紗耶香の他にも女性が居たが女同士2人で組を作って貰うことになった。後は男性4人で2組、計3組で朝から翌日朝まで養魚場にいてもらう。


そうそうここは地下100回の最深部だから普通ならここに来るのに命がけで100日以上かかるが俺が何度も階層主を倒しているのでダンジョン入り口とここを一瞬で転移出来る装置を10個持っているので彼らにも貸し与えている。面接で合格になった人に渡すようにと桜に預けてあったのだ。この仕事が完了したら強制的に俺の手元に戻って来るようになっている。

彼らに渡した転移装置は俺が登録した1人だけしか転移出来ない。彼女とか彼氏とか仲間を集めて来て乱痴気騒ぎされたんじゃたまったもんじゃない。

「おじちゃんに手紙が来たら届けてあげるから転移装置は返さなくても良いでしょ」

と紗耶香にせがまれて紗耶香の持っている分は返さなくても良い事にした。俺からは税金対策に必要な領収書を公認会計士の両親に届けて貰おう。


日中の仕事は餌やりがほとんどだ。養魚場をすっぽりと覆う結界が張って有るので有害なモンスター、鳥や獣は入って来れないし。泥棒も入って来れない。安全で簡単なお仕事です。

期間は俺が帰ってくるまで。最長1カ月をみている。

日当1人2万円。食事の材料は俺が用意して各組にマジックバッグに入れて渡してある。もしもの為に各組2人で1ヵ月分だ。宿泊施設はふかふかベッド、風呂、水洗トイレ付き。前の組との仕事の引き継ぎの為に30分位被る時間を設けてある。


期間中、1組10回勤務で各自20万円の報酬を受け取れる。その他に異常事態が起きた場合はその対応具合によってボーナスが受け取れる。

仕事時間帯での飲酒は厳禁。翌日に影響が出るほど飲んだ場合もアウトだ。魚を盗もうとしても池にも結界が張って有って隠しカメラで撮影しているので止めておけと注意しておく。

仕事内容は紙に書いて置いておくし、休憩所の壁にもでっかく張り出しておいた。餌については半年分の量を確保して有るので足りなくなることは無いだろう。

俺が出掛ける前に一通りの仕事内容は全員に経験してもらった。

1か月分の出荷する魚は俺が処理して一寸余分めに各取引先に時間停止付きのマジックバッグに入れて配って置いた。


さあ先ずは【炎竜ダンジョン】を攻略して来るか。その次は【氷竜ダンジョン】だ。その二つを攻略すれば俺もS級になるはずだ。ちなみにここの階層主は【毒竜】だった。

階層主を倒してもダンジョンが無くなることはない。120時間後(5日後)にリポップするのだ。

さて日本のダンジョン内は電波が通じているので電話も通じるしテレビラジオをも見聴き出来る。勿論俺の養魚場ではパソコンも使える。魔素は電波を通しやすいようでWi-Fiも使える。光ケーブル程度に結構通信速度も速い。

但しバッテリーで使うか、電気でなく、魔力で動くように改造されていないと使えない。AC電源は使えないのだ。

俺は1日1回は電話で様子を確認することにした。

隠しカメラの映像も俺に届いているぞと脅しをかけて置く。


さあ出掛けよう。

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