第9話 S級ダンジョン踏破
俺はストレージ内で作業をする間、鑑定でミスリルゴーレムの魔石の
「何だこりゃー!」
俺は思わず叫んでしまった。高速で魔石の在処があちこちに移動している。しかも不規則に。次に何処に移動するのか予測出来ないのだ。
ピコーン
『金属腐食液10本完成しました。敵の魔石の位置に転送しますか?』
『イエス』
ミスリルゴーレムの10か所に【金属腐食液】が転送されて穴が開いていく。だが魔石には当たらなかったようだ。移動速度が速すぎる。
だが俺はこの時を待っていた。その空いた穴から超強力な雷魔法をぶち込むのだ。
「魔力1万倍サンダーボム発射」
景気づけに叫んでゴーレムの穴に雷をぶち込む。
ゴーレムの体内で雷が暴れ回る。ズドーン!!とミスリルゴーレムが倒れる。やった!遂にS級ダンジョン踏破だ。
ドロップ品は50㎝魔石とミスリルインゴット1トン。これだけでも大儲けだが、俺が願った
パキューンと効果音が鳴って宝箱が出現した。
このダンジョンで宝箱が出たのは初めてだ。期待してもいいかな。
罠は無さそうだな。
おそるおそる蓋を開ける。
ミスリル製の魔法杖と、ブレスレットが入っていた。
鑑定すると杖は魔法の威力を持ち主の魔力量に応じて強化出来るらしい。
更に嬉しいことに飛行魔法と転移魔法を使えるようになったのだ。
地上でも使えるか後で試してみよう。地上にも魔素が有るから大丈夫だと思うけれど、実際に試してみなければ判らない。
ブレスレットはダンジョン内の転移装置だった。これが有れば次回はどの階層にでも直接転移出来るし、入り口に戻ることも出来る。行きたい階層を思い浮かべればそこに行けるようだ。
そしてもう1つ【ドール召喚】の機能が付いていた。
頭の中で「ドール召喚」と念じてみると人間そっくりの
言葉は通じるかな?
「君名前は?言葉は判るかな?」
「名前……まだ無い。ご主人様につけて欲しい。言葉学習中であります」
変な日本語だがもうここまで意思疎通出来るのは凄い!
俺は、その娘に
拠点に戻ったら紗耶香に連絡して服を買ってきてもらおう。召喚した時に着ていたメイド服だけでは拙いだろう。俺より先にここを制覇したS級収集人の趣味だったのかな?
オートマタというかアンドロイドと言った方が良いのか、とにかく人間そのものの話し方、行動、滑らかな関節の動き、筋肉の動きも人間そっくりなのだ。こんなにも素晴らしいロボットを一体誰が作ってダンジョンに与えたのか?
しかも人間以上の頭脳を持ち合わせている。
「
「はい、ご主人様の能力の70%の能力を御主人様からコピーさせて頂いております。ここのS級ダンジョンくらいなら余裕で制覇可能です」
(俺の70%の能力で制覇可能って俺より強いんじゃないか!俺は全力で踏破出来たんだぞ!)
「いいえ、御主人様はご自分の能力の50%くらいしか出しておられませんでした。ご主人様の潜在能力は私などが到底追いつけるものではありません。自信を持って下さい」
「そ、そうか……」
思いを読まれて、励まされてしまった。
「ところで、御主人様って呼び方、どうにかならないかな」
「それでは
「ぬしさまって、どこの花魁だよ、旦那様ってお前は奥さんか?」
思わず突っ込んでしまった。
「ではマイダーリンでは?」
こいつ俺を揶揄ってるのか?頭が良すぎるのも困ったものだ。
「いやいや、普通に秋葉さんとか呼んでくれよ」
「隆史さんではダメですか?」
「却下、それは恋人か嫁さん用に取って置きたい呼び方だから」
「私は元々作って下さった大賢者様の夜のお相手用に作られた存在です。もし私が必要な場合は遠慮なくお申し付けください。私はまだ処女ですが、プロの女性たちのテクニックはデータに入っておりますのでご要望に応じてどの様な女性にでもなりきってみせます」
(とんでもないことを言い出したぞこの娘、つまりもともとラブドール(ダッチワイフ)として作られた存在だと言うのか!
「いや、いや、そっちはいいから、それよりも戦闘能力をみせてくれ」
養魚場の留守番達との契約日数はまだ半分も残っているからその期間紫苑とダンジョンで収集の仕事をやっておこう。
その一方で桜に目的達成の報告をしておいた。
養魚場の方も問題無いようなのですぐ戻る必要も無いだろう。
紫苑の写真をスマホで撮って、身長、3サイズをメモして紗耶香に送って普段着と作業着を買っておいてくれるように頼んだ。お金もスマホで送金出来るので便利になったものだ。
俺と紫苑はS級ダンジョンの1階層から収集活動を開始した。今度はゆっくり進んで戦闘よりも収集の方に力を注ぐことにした。
出来る事なら【エリクサーの素になる薬草、
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