第23話 第3S級ダンジョンの確認

第3S級ダンジョンの調査の当日が来た。調査員の中に桜もいた。調査員の男性3人と護衛の俺。メアリーと恵も護衛を請け負っていた。それにビデオカメラで記録する為のプロのカメラマンとその助手の計9人パーティーだ。

今回は転移装置を使ってラスボスの山に一気に転移する。


S級でなければ入れないダンジョンでもS級収集人が手に入れた転移装置が有れば収集人でなくても同行出来る。但し自分の命は自分で守るのがルールだ。自分が強くなくても護衛を雇えば構わないのである。


ラスボスがリポップしているだろう恐れが有るので。9人纏めて防御結界を張っている。桜も俺のスキルを使えるようになったのでちょっとやそっとの攻撃を受けても壊れることは無いだろう。

桜自身もA級に近いB級収集人だった。最近は秘書の仕事が忙しくてダンジョンに潜れていないようで、久しぶりに潜れるとあって嬉しそうだ。今なら俺と同じ特S級収集人の実力が有るはずだ。


因みに、俺と桜がスキル交換して、婚約したことをメアリーと恵には教えているらしい。

「ライバルには早いうちに隆史さんを諦めさせないとね」と妖艶な笑みを浮かべていた。

あの2人には、俺と最後の一線は越えさせないと言っていた。

つまり俺に浮気するなの圧をかけているのだ。

こりゃ俺、絶対に尻に敷かれる気配濃厚だ。


全山「魔力バッテリーメタル】の山は初めて来た時の状態に戻っていた。これなら永久に採掘可能かも知れない。

そしてそれはラスボスにも言えた。常人なら腰を抜かしてしまいそうな恐ろしい咆哮と共に【通称ティラノモンスター】が飛んで来た。


今回も猛毒攻撃で行こうと思って、50倍濃縮液を用意して来た。

あいつは俺の放った攻撃を食っていたので弾かれることは無いだろう。逆にそれを自分の攻撃力として使ってくる可能性が有るので、解毒薬も用意してきている。


ティラノモンスターが、例によって大口を開けて襲って来た。

用意して置いた濃縮毒液をその口に勢い良く放り込む。

俺の攻撃なら何でも喰ってしまうティラノモンスターは、案の定パクッと飲み込んでしまった。

もがき苦しんで横倒しになって起き上がれなくなった。

心臓の有る位置に転移して日緋色金の刀を鍔まで差し込んだ。瞬殺だった。宝箱が出た。今度も前回と同じものが入っているかと思ったが今回はマジックバック以外は別物だった。

パーティー仲間と人数が違うので変わったのだろうか?

何でもいいが、【異性間スキル譲渡、譲受スキル】が入っていないのは助かった。


その代わりに、S級収集人じゃない人もこの場所に転移入場出来るパスポートが6人分入っていた。

例えばダンジョン庁職員が【魔力バッテリーメタル】を採掘する為に俺達が居なくても来れるということだ。転移して来た時点で強力な防御結界が張られるようなのだ。しかし結界外には出ることは出来ない。

パスポートを使える人間は俺とメアリーと恵が立ち会って登録しないといけないようだ。

このパスポートは、次回の討伐時にも出るかどうかは判らない。


今回出たマジックバッグは俺が自動収納機能を付与すると【魔力バッテリーメタル】を自動収納出来るらしい。

これはもう完全なパスポートと併せて【魔力バッテリーメタル】を収集する為だけの専用アイテムと言って良いだろう。


俺の仕事が増えずに済むのは有り難い。


「次は又、入り口から入ってランダム転送されたステージを踏破してください」と職員さんから懇願された。


まだ楽は出来ないみたいだなあ。

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