第11話 2大S級ダンジョン制覇

 第1S級ダンジョンの100階層に来ている。さてこの階層には何が待ち構えているのだろうか?魔人の上位種となるとまさか魔王じゃないだろうな。まさかね、現代日本に魔王なんかが現れたらどうなってしまうんだろう。10年前にここを制覇した収集人の報告書の内容とは大分違っていたし当てにならない

10年でこんなにも変わってしまうのか?と言うほどの全く別物の内容だった。1度制覇された後2度目の制覇の噂は聞かない。

あまりにもダンジョン制覇されないことに業を煮やしてダンジョン自身が変わったのかも知れないと思ってしまう。

4人いる日本人のS級収集人は皆アメリカやヨーロッパのダンジョンに行って活躍している。まるで野球の大リーグに行ってしまう若者の人生みたいだ。聞くところによると日本との年収の差はとんでもなく違うのだという。

でも俺は海外に行く気はない。だから辞めたくても辞められない。日本のダンジョン資源の収集は俺の働きに掛かってきてしまうのだ。

C級までなら沢山いるがB級以上になると極端に少なくなってしまう。

でももうここまで来たら、腹を括って動き出すとするか。


100階層は湿地地帯だった。足を踏み外すと泥に足をとられて動けない。足場の結界を作りながら歩くとしよう。水場に出て来るモンスターと言えばリザードマンとかワニのモンスターかな。

足元の水の中には小魚が泳いでいる。よく見ると水生の薬草が多数生えている。【エリクサーの素その2】だった。どうやら【エリクサーの素は】その3まで有るらしい。何処に有るかまでは判らないが。

突然水面が盛り上がった瞬間巨大な蛇が襲って来た。その大きな口は俺なんか1飲みされてしまいそうだ。

鑑定すると【デビル・サーペント】だった。神蛇とも言われる悪魔の毒蛇だ。

【絶対防御】で防ぎつつ開けた口に毒を放つ。毒蛇に毒が効くかどうかは判らないが物は試しだ。

 やはりというべきか毒蛇の毒は効かなかった。だが毒竜の猛毒ならどうだ、流石に竜の毒には耐えられないようで、のたうち回って苦しんでいる。やめてくれそんなに暴れ回ったら貴重な薬草が駄目になってしまう。仕方ない拙い剣術だが剣で仕留めよう。

俺は暴れまくる大蛇の真上にジャンプして振りかぶったオリハルコンの剣を振り下ろした。首と胴が離れ離れになる。

「【強制収納】」

大蛇は完全に命を失ってドロップ品が収納された。

魔石と皮と肉と牙と毒袋が入っていた


さて階層主の部屋に入ろう。

部屋の奥にモンスターの目が光っている、複数だ。

ヒュドラだ!やっぱり蛇のモンスターだったか。

こいつのやっかいなところは9個ある頭を切り離しても直ぐに再生するところだ。倒す為には1度に9個の頭を切り離さなければならないらしい。切り口を焼いてしまえば再生速度が遅くなるらしいが、他の口から毒液やら溶解液を噴射して来るらしい。

しかも外皮が非常に硬く魔法も剣も通しにくい。もたもたしていると複数の口からの攻撃でやられてしまうのだ。


とりあえず雷魔法で攻撃して見る。やっぱり効果がない。だがヒントは見つけた。

雷を撃とうとした瞬間一斉に口を閉じたのだ。

外皮内には効果がありそうだ。ならば何も頭に攻撃しなくたって良いのではなかろうか?

それを確かめるために尻尾にオリハルコンの剣を振り下ろした。

スパッと切れた!中の肉が見えた。そこに強力な雷魔法を放った。


ヒュドラの全身が雷を受けてバチバチ音を立てて明滅しながら震えている。苦し紛れに大きく口を開けて様々な攻撃液を吐き出して来る。チャンスだ!そこへ魔力1万で雷を口の中に撃ち込んだ。

ピーンと大きく伸びきってヒュドラは息絶えた。

収納する。

ドロップ品は魔石、肉、外皮、そして毒液、溶解液、血液、牙だった。最後に金色に光って再生液がドロップした。それらを全部収納するとヒュドラの居た場所に【エリクサーの素その3】が生えていた。

どうやらこれでエリクサーが作る材料が揃ったらしい。


嬉しいことに【剣術スキル】もSになっていた。これなら対人戦でも遅れをとらないだろう。後は経験を積むしかないんだろうな。


「秋葉様お見事です」

紫苑が誉めてくれる。

「頭でなく、尻尾の方から攻撃の糸口を掴むなんて、思いもよらぬやり方でした。私だったらマニュアル通りに頭の方ばっかり攻め続けていただろうと思います。柔軟な発想が必要な時も有るのですね。勉強になりました。お見事です」

気恥ずかしいからスルーしておく。


さて【調薬スキル】を生かして【エリクサー】を作ってみるか。

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