第49話 炎竜討伐

最後のA級ダンジョン【炎竜ダンジョン】に来ている。


紗耶香の願いだったが今後色んな薬を作るための薬草をここで入手しなければならないので、遅かれ早かれこのダンジョンに来なければならないのだ。


今回は1階層からの攻略なので2~3日掛かるだろう。

1~90階層は3人で強制収納しつつ1階層を10分で駆け抜ける。ここで約15時間必要だ。今の彼女達ならスタミナもスピードも俺と遜色ないから休憩時間を含めて17時間をみておこう。つまり2日必要だ。


残り10階層はモンスターが強くなるので1日必要だろう。計3日が必要になる。


90階層までは強制収納して行くので戦闘はしない。ストレージに植物以外の生き物は入らないので強制的に入れようとすると勝手に死んでくれるのでドロップ品の収納作業になってしまうのだ。勿論薬草等の有能植物、鉱物なども収納していく。何と言っても俺達は収集人なのだから。


というわけで50階層迄一気に駆け抜けて休憩を取る。水分補給、栄養補給は大切だ。


沢山のモンスターや有能植物が収集出来たが、その仕分けは地上に帰ってからおこなおう。

ただ、モンスターは炎狼、炎猿、サラマンダーなどの全身に炎を纏っていたり、炎魔法で攻撃して来るモンスターだったことは報告しておく。

きょうはここで1泊する。

さて明日は90階層迄一気に駆け抜けよう。


2日目だ。今日の目標は90階層迄制覇すること。

3人とも体調は万全だ。


「さて行くか」

「「はい」」


おれたちは各自前方100m左右各50mの範囲を強制収納していくので100m間隔で横に並び走り出す。

1階層を2往復半でほぼ制覇出来る。

俺達には無尽蔵の体力が有るが非常時でもない限り水分補給栄養補給の休憩を取る。

「俺はブラック企業じゃないからな」

俺が言うと紗耶香に言われた。

「昔1カ月も不眠不休でダンジョン攻略してた人がいうセリフじゃないわね。あの時お母さん本当に心配していたんだから」

俺がA級収集人になるために頑張っていた頃の事だ。

あの時は妹の静江に、泣いて猛抗議されたのを思い出した。

「電話は通じるんだから1日1回は連絡してよね!私のために学費や生活費を稼いでくれるのは本当に有り難いし感謝してるけど、お兄ちゃんに何か有ったらと思うと生きた気がしなかったんだからね!」

俺はただただ頭を下げていた。

それ以来無茶はしないことにしている。そのころ紗耶香は5,6歳だったと思う。まだ妹と紗耶香の父親は結婚していなかったが紗耶香は静江をお母さんと呼んでいたんだよな。


「あの時は御免。若気の至りで、無茶してしまった」

「いいのよそのおかげでお父さんとお母さんが結婚する決心がついたって言ってたから」

妹の旦那の若草茂がもし兄の俺に何か有った場合静江のそばにいて支えてあげたいと強く思って、今まで再婚の自分が初婚の静江にプロポーズしていいものかと悩んでいたらしいのだがこの時の出来事がきっかけで自分が静江を支えようと決心したと俺に打ち明けて来たのだ。こいつになら静江を任せられると俺も承諾した。静江に実の母親のように懐いている紗耶香も可愛くて、俺をおじちゃんおじちゃんと慕ってくれるから家族に成れたらいいなと応援することにしたんだ。


 それはさておき、80階層から階層主はキングオークとかキングオーガとか炎魔法攻撃して来る強敵になる。

 でもそれくらいは強制収納の敵ではない。瞬殺して宝箱が出たらそのまま収納する。罠が有っても罠ごと収納する。だから剣とか槍とか弓矢とかが大量に入っていたりする。一気に100階層迄落とされる罠の魔法陣が有ったらラッキーだ。

後で有難く使わせてもらう。


予定通り90階層に着いた。91階層からの階層主は【エンペラー】付きの超強敵だ。A級収集人ならばだがの話だ。

S級収集人にとっては屁でもない。S級とA級ではプロの格闘家と、喧嘩自慢の素人位の力の差が有るのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る