第57話 最終回 静かなる戦い
俺はカメラに向かってこう言った。
「俺の名は秋葉隆史37歳。SS級収集人だ。
俺は日本と、自分の周りの人たちを愛する人間だ。
この度の反日の独裁国家連合軍による日本への軍事派遣は元々は、3人の独裁者が、どんな大怪我でも、不治の病でも直してしまう【エリクサー】という伝説的な薬を手に入れてこの先何年も不老不死の身になって自分と自分の家族と共に永遠に独裁政治を行おうとする目的から起こしたものだ。
【エリクサー】の材料の入手方法と製造方法レシピは日本ダンジョン庁東京本部から発表されているはずで決して隠ぺいしているわけでもない。
世界中のどの国のダンジョンにも同じ様なダンジョンが有り一部の国を除いて資格のある収集人なら潜れるはずで、材料入手も可能なはずである。
入手できる人材が居ないか敵対国家であるなどの理由で売ってもらえない事情があるから自分達は手に入れられないのであろう。
だがこの3人の考えは「自分が手に入れられないのなら他人も手に入れられないように、最初に材料を収集して作り上げた俺を抹殺してしまえという短絡的思考によるものだ。
そしてとうとう本日、独裁国家連合軍による日本侵略先発隊がこの町に進攻して来た。その上、無関係の一般市民の女性に対しての乱暴狼藉!それを目撃しておきながら助けようともせずに全ての責任を俺に押し付けようとする反日テレビ局!
よって俺はここに宣言する。
本日をもって俺は、俺や、俺の大事にしている者達に敵意を持つ者すべてに宣戦布告する。
「俺に敵意を抱く者はこの世から抹殺することにする!」
*************
その日、日本から反日外国人、反日マスコミ関係者、反日政治家、反日活動家らが日本から消え去った。テロリストに便乗して暴れまわっていたMT国の犯罪者も同様だ。
日本国内の政府内は大慌てだった。総理大臣だった関谷氏が消えてその周囲の取り巻きも消えた。野党に至っては少数派しか残らなかった。マスコミも同様である。これまで様々な問題行動を起こしていたテレビ局、新聞社も重役以下の人材しか残らず、業務を進められずに分裂した。
一方で秋葉隆史に対して不満を持つ者も少なからず居た。
だがその思いを表明することが出来なかった。
秋葉の悪口を言おうとすると声が出なくなり、SNSで発信しようとしても指が動かなくなるのだ。当然音声入力も出来ない。
そして在日外国人が消えたことで生活保護に使われていた予算が大幅に減り、そんな町は、静かになり犯罪が減って清潔になっていった。
政治のほうでも坂本長官が総理大臣に就任して同盟国とのダンジョン外交が盛んになった。
その為に輸出したいダンジョン資源が不足気味になって、秋葉隆史の仕事はますます増えて引退が遠のいていた。
「なんでこうなった!」
秋葉は嘆いた。こんなはずじゃなかったのにと。
(こうなったらS級収集人を大々的に増やそう)
元々日本の自衛隊員の能力は高い。問題ごとばかり起こす独裁国家は無くなって、自由主義国家の援助で資本主義主義国家へと変貌を遂げた。
その時にどの国がどの国を援助するかで大いにもめたそうだがそれはまた別のお話。
そのため戦争の恐れが減ったので自衛隊員も収集人に転職する隊員も少なからずいた。
彼等は秋葉の指導によって早々にA級、S級に昇級していった。
(これなら俺が引退する日も遠くないな)
秋葉はほくそ笑んでいた。
*************
「おじちゃん紫苑に弟が出来ちゃった!」
紗耶香が大慌てで飛び込んできた。
よく聞くとミスリルゴーレムを討伐して【ドール召喚】のブレスレットをゲットして
驚かすなよ。自動人形が自動人形を 産んだのかと思ってしまったじゃないか。ってそれじゃあ弟じゃなくて息子だろ!俺も落ち着け……
SS級収集人の強さを知った各国にとって日本人の収集人は恐れの対象であり、憧れの対象になっていた。
まもなく俺も引退できるかもしれない。
おっと待った、そんなこと言うとまた引退が遠のくぞ!
大人しく引退できる日を待つこととしよう。
以上で終了完結です。
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ここまで読んでくださって大変有難うございました。
次は年が明けてから短編を投稿する予定です。よいお年を
現代ダンジョン収集人は引退出来ない 霞千人(かすみ せんと) @dmdpgagd
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