第25話 高山ステージ
「2人は防寒服を持ってるかな?」
2人とも首を横に振る。
なので錬金術の練習で作った【モンスターアイスイエティ】の毛皮で作った防寒服をプレゼントした。室内で着ると汗ばむくらいだった。
「秋葉さんは着ないんですか?」
「ああ、俺は自分自身に防御結界を纏っていて結界内に生活魔法の火魔法をごく弱く発動すると温かくしていられるんだ」
炎を出さない火魔法と言うより温度変換魔法と言っても良いだろう。
「まあ、生活魔法をそんな風に使うなんて考えもしませんでした。私も後で練習してみます」と恵が言った。
【安全地帯】を出て出発する。
モンスターの魔力を検知した。
空だ。降りしきる雪が邪魔で視界が悪い。俺は自分の周囲1㎞をドーム状に雪だけを自動収納していく。
『右上空です』恵がいち早く目撃して念話で伝えてくれた。スキル交換したおかげで500mくらいの距離なら3人で念話で情報共有できるようになったのだ。
その方向を見ると巨大な白い翼の鳥が俺達に向って飛んで来ている。
【魔鳥ガンドール】だった。生きているものから死んでいるもの、腐肉まで貪り食う、翼を広げると10mを越す鳥形肉食モンスターだ。
人間の頭ほどの大きさの嘴で攻撃して来る。超強力な高周波音波で生き物の行動を阻害する。翼のはためきで対象物を吹き飛ばす厄介な相手だ。空を飛べるので物理攻撃が難しい。
だがそのせいで剣を弾くような鎧防御は兼ね備えていない。
なら簡単だ。転移して首を切ってしまえば良い。気を付けなければならないのは10羽以上のハーレムを作っているので警告の鳴き声を出されると味方が一斉に襲ってくる。
『メアリー首を狙って転移して切り落とせ!恵はでかい胴体を狙って魔法攻撃しろ。俺は近くに巣が無いか高い所から探して殲滅してくる』
『ラジャー』『お気を付けて』
俺は一気に魔鳥よりも1㎞上空に上がって山の崖を探す。
最初の1羽はメアリーと恵によって難無く倒された。
1㎞の結界は相変わらず健在なので1度地上に降り立って歩いて結界を越さないといけなかった。
そして15羽の集団を発見した。俺はメアリーの持っていた【隠形スキル】を使って姿を隠し、転移して次々に首を切り取っていった。今は雛はいなかった巣立った後のようだ。大きさから見ると最初の奴がボスだったようだ。
2人の所に戻る。今度は1㎞の結界の壁に阻まれずに降下出来た。
あのハーレムを殲滅したことで、結界が消滅したのかも知れない。
恵も【隠形スキル】を獲得していることを確認して訓練の為に全員で姿を消して飛ぶことにしたパーティー仲間なら消した姿もうっすらと知覚出来るので間違って味方同士ぶつかることは無いだろう。
俺は飛行魔法と言ってはいたが、俺の場合はスキルだった。
魔法は相変わらず生活魔法と初級(下級)魔法しか使えない。膨大な魔力量で上級魔法並みの威力を発揮しているのだ。そのおかげでメアリー、恵に飛行スキルを譲渡出来たのだ。
メアリーからは【隠形スキル】を貰い受けて、恵みからは【念話スキル】を貰っている。
俺の防御結界もスキルなので3人とも酸欠に苦しまずにいる。結界の中で空気と温度を調整しているのだ。初めは防寒着が必要だった彼女らも今では結界を自動的に使いこなしていて動きやすい服装に戻っている。
今は標高8000メートル付近に居る。
地球上の最高峰の山はヒマラヤ山脈のエベレストで標高8848.86mだとされている。ここの山はまだ先が有るようだ。
モンスターには【魔鳥ガンダール】以外出会っていない。このステージはこの山をただひたすら踏破することがクリア条件なのだろうか?
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