4
夏休みの間、誰よりも思い浮かべた相手。
安藤サオリだった。
自分の立場ばかりか、憧れの人まで奪おうとしている安藤。
好美の憎悪は限界を超えていた。
-ユルサナイ-
好美は静かな怒りを抱きながら保健室を後にした。
そのまま早退した好美は、遅くまで町をさまよった。
家に帰れば父親に罵倒される。
行くあてがないまま、ただ町を歩き続けていた。
時間をつぶすため、公園のブランコに座った好美。
その時だった。
ベンチに座る高校生カップルの話が聞こえてきた。
「地獄通信って知ってる?」
彼氏がそんな事を話していた。
憎い相手を地獄に流せる地獄通信。
子供達の間で流行る都市伝説のような話を、カップルは、面白おかしく話していた。
しかし、この時の好美は、その話に真剣に聞き入った。
パソコンでアクセスできる事。
深夜12時にだけそのサイトは開く事。
好美はそっと時計を確認した。
11時20分。
好美は急いで家に帰った。
玄関に仁王立ちしている父親。
「こんな時間まで何をやっていたんだ。学校の勉強もろくにしないで、何を……」
好美は初めて父親に反抗した。
掴みかかる父親の腕を振り払い、そのまま部屋に入り、カギをかけた。
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